2012 Fiscal Year Research-status Report
疼痛認知における性差のメカニズムに関与する下行性鎮痛系の可塑的変化とその役割
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24590727
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
戸田 一雄 長崎大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (80134708)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木本 万里 日本女子大学, 家政学部, 准教授 (60101565)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 性差 / 疼痛 / 下行性鎮痛 / ストレス / 逃避反射 / 性周期 / 可塑性 / ラット |
Research Abstract |
本研究の目的は慢性疼痛モデルを作製し、可塑的変化が生じやすい擬似的慢性疼痛下で、ストレス刺激を負荷し、1)ストレスによって駆動・賦活される下行性鎮痛効果の性差、2)下行性鎮痛系におけるシナプス伝達効率の性差、すなわち可塑的変化の性差、3)下行性鎮痛系の可塑的変化における性ホルモンの関与、を明らかにして、疼痛認知の性差発現における下行性鎮痛系の役割を解明することである。平成24年度は成熟ウィスター系ラット(8週齢)の雌雄を用い、通常の環境下で飼育したラット、および擬似的慢性疼痛のモデルである坐骨神経CCIモデルを作製したラットで、金網を用いた拘束ストレス(15分間)を負荷して鎮痛効果の比較検討を行動学的に行なった。疼痛閾値に関しては、携帯型のVon Frey式電子痛覚装置を用いて機械的刺激に対する逃避反射閾値を測定し、その数値を疼痛閾値とした。雌ラットについてはストレス負荷時に性周期を確認した。方法としてはスメア観察法を用い、スメア採取後ギムザ染色を行なって、発情休止期、発情前期、発情期、発情後期を同定した。雄ラットでは雌と同様な時系列でストレスを負荷し逃避反射閾値を測定した。雌ラットでは性周期に連動した疼痛閾値の変動が見られ、発情後期では閾値が高かった(すなわち、疼痛感受性が低かった)。閾値の変動は体幹部で顕著で四肢や顔面では差が見られなかった。雄では、疼痛閾値の変化見られなかった。ストレスはオピオイドが関与した下行性鎮痛系を賦活することが明らかにされているので、雌では性周期に伴って下行性鎮痛系の強弱が変化するものと考えられた。痛みの性差医療においては性周期を考慮すべきことが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度の目的である行動学的手法に関する下行性鎮痛系の解析を行うことができた。成果の一部は欧州生理学会で発表した。次年度に向け、電気生理学的記録法を効率よく進めるために予備的実験を行なっている。研究分担者との研究打ち合わせ、共同実験も順調に行われた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、行動学的解析に加えて、電気生理学的解析も加えていく。特に、下行性鎮痛系の起始である帯状回に注目して、ストレス負荷前後の疼痛反応を雌雄ラットで記録し、ニューロンレベルでの性差を解析する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今年度は物品費を節約することができたが、国際学会での発表があり旅費の支出が増加した。次年度は、ラット(餌代を含む)物品費としてほぼ同額が必要であり、国際的な学会で成果を発表し、また同様な研究を行なっている海外の研究者と情報交換を行い痛みの性差研究の進展に貢献する予定である。そのため、外国旅費を必要とする。
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