2012 Fiscal Year Research-status Report
難治性疼痛制御に向けて:Gi蛋白共役型受容体の同時活性化による持続鎮痛療法の開発
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24590740
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | National Center of Neurology and Psychiatry |
Principal Investigator |
上園 保仁 独立行政法人国立がん研究センター, 研究所, 分野長 (20213340)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 鎮痛薬 / 難治性疼痛 / G蛋白共役型受容体 / 二量体化受容体 / 耐性形成 / 持続的活性 / オピオイド / バクロフェン |
Research Abstract |
がん患者の疼痛制御に用いられているオピオイド鎮痛療法は、鎮痛耐性が起きずかつ効果の持続する投与法が望ましい。今回私たちは、オピオイド受容体などGi共役型受容体の細胞内シグナル機構の解明ならびに二量体化オピオイド受容体の選択的作用薬の開発という観点から、「耐性の起きにくい、持続鎮痛可能な療法」の開発のための実験を行った。 「二量体化受容体を選択的かつ持続的に活性化する新規薬物の開発ならびにその投与法の開発」として、モルヒネ、オキシコドン、フェンタニルに加え、新たに上市予定のメサドンの二量体化受容体に対する作用効果をIn Vitroアッセイにより明らかにするため、まずオピオイドμ、δ、κ受容体をそれぞれ恒常的に発現している細胞を構築した。さらに各々の受容体が1:1で発現するμ-δ、δ-κ、κ-μ受容体発現ベクターを工夫し、その構築に成功した。現在までにモルヒネ、オキシコドン、フェンタニルのμ、δ、κ受容体に対する特性を解析、結果を得た。二量体発現細胞が作製され次第、同オピオイド薬剤のオピオイド二量体への効果を解析し、単量体のそれらと比較検討する。 「少量併用投与で強い鎮痛効果をもたらし、少量であるが故に受容体耐性形成が起こりにくい新規投与法の開発」のため、オピオイド受容体と同様に強い鎮痛効果を惹起するGABAB受容体を用いて、少量のGABAB受容体アゴニストバクロフェン+各種オピオイド投与において、強い細胞内シグナル(鎮痛効果)を有しながら受容体脱感作は起こさないという組み合わせを、両受容体を発現させた細胞を用いて解析を行った。その結果、1/10量モルヒネ+1/10量バクロフェンが通常量のモルヒネ、バクロフェンと同等の作用(K+チャネル活性化機構)を有することを明らかにした。今後は同薬物の組み合わせ、用量において動物モデルを用いたIn Vivo実験を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度に計画した研究はほぼ達成され、一部は計画以上に進んでいる。In vivoの動物実験については計画通り平成25年度に実施する。一方、研究結果に伴い不必要となる研究計画もでてきた。各受容体を1:1に発現させることが出来る二量体化受容体ベクターは構築できその発現には成功しているが、恒常的発現細胞の構築はまだできていない。しかし一過性二量体化受容体発現細胞でも結果が見えることがパイロットスタディで判明したので、必ずしも恒常的二量体化受容体発現細胞を作製する必要がないことも考えられる。一過性の発現系でも確実なデータが得られることがわかれば、時間と費用のかかる恒常的発現細胞の構築計画はスキップする。
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Strategy for Future Research Activity |
「二量体化受容体を選択的かつ持続的に活性化する新規薬物の開発ならびにその投与法の開発」 ①μ、δ、μ-δ受容体発現細胞を用いて、各オピオイド製剤、メサドンならびに新規開発化合物の反応をCellKeyシステムにて詳しく解析する。 ②受容体局在化およびFRETアッセイのため、各々のオピオイド受容体を1:1に発現できるベクタークローンを用い、一過性二量体発現細胞の構築を行う。共焦点レーザによる受容体細胞内局在可視化アッセイならびにウェスタンブロットによる受容体二量体化の確認。 ③μ、δおよびκ受容体活性を細胞内カルシウムイメージングによりアッセイできるG蛋白キメラ Gqi5を連結させ、これらの融合クローンを用いて受容体刺激によるカルシウムイメージングを行う。μ受容体-Gqi5とδ受容体を共発現させる。μGqi5-δ受容体が二量体であれば、μアゴニストに加えδアゴニストでもカルシウムシグナルが流れる。二量体受容体が存在しなければ、δアゴニストによるカルシウムシグナルは流れない。この二量体受容体のみをアッセイできるシステムを用いて、モルヒネ、フェンタニル、オキシコドン、メサドン等の二量体化オピオイド受容体に対する反応性の比較解析を行い、μ-δ二量体化受容体を最大限活性化させるオピオイド製剤の組み合わせ、並びに受容体脱感作を最小限にするオピオイド製剤の組み合わせを決定する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当研究は平成24~26年度の3年間で行うこととなっている。初年度(平成24年度)の直接経費の請求額は1,700,000円となっていたが、実験の進捗に合わせて1,527,232円を執行し、残りの682,768円を平成25年度に繰り越した。 平成25年度は、繰越分を合わせ以下の予算にて研究を遂行する。 物品費:494,090円、旅費:255,980円、人件費:660,673円、その他:472,025円 なお、平成26年度の予算の使用予定は以下の通りである。 物品費:300,000円、旅費:100,000円、人件費:300,000円、その他:500,000円
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Research Products
(23 results)
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[Journal Article] The sensation of abdominal pain induced by peritoneal carcinomatosis is accompanied expression of substance P and by changes in the μ-opioid receptors in the spinal cord of mice.2012
Author(s)
Suzuki M, Narita M, Hasegawa M, Furuta S, Kawamata T, Ashikawa M, Miyano K, Yanagihara K, Chiwaki F, Ochiya T, Suzuki T, Matoba M, Sasaki H, Uezono Y.
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Journal Title
Anesthesiology
Volume: 117
Pages: 847-856
Peer Reviewed
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[Journal Article] Increased expression of aquaporin-4 with methylmercury exposure in the brain of the common marmoset.2012
Author(s)
Yamamoto M, Takeya M, Ikeshima-Kataoka H, Yasui M, Kawasaki Y, Shiraishi M, Majima E, Shiraishi S, Uezono Y, Sasaki M, Eto K.
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Journal Title
J Toxicol Sci
Volume: 37
Pages: 749-763
Peer Reviewed
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