2014 Fiscal Year Annual Research Report
微小粒子状物質等大気汚染物質の健康影響(循環器、呼吸器疾患)に関する研究
Project/Area Number |
24590744
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
野見山 哲生 信州大学, 学術研究院医学系, 教授 (70286441)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
塚原 照臣 信州大学, 学術研究院医学系, 講師 (50377652)
津田 洋子 信州大学, 学術研究院医学系, 助手 (80512904)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 微小粒子状物質 / 光化学オキシダント / 大気汚染 / 健康影響 / 時系列分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
PM2.5は環境基準が設定されているが、本邦の知見は国外の知見と比較して少ない。本研究は、PM2.5が健康に与える影響を本邦のデータで評価することを目的とした。 調査は2012年4月1日から2015年2月20日に長野県の伊那中央病院における全入院患者とした。PM2.5、他の大気汚染物質(浮遊粒子状物質、二酸化硫黄、二酸化窒素、一酸化窒素、光化学オキシダント)をリスク要因、心臓血管疾患(急性冠症候群、大動脈瘤および大動脈解離、心不全、心停止)、脳血管疾患(くも膜下出血、脳内出血、脳梗塞)、呼吸器疾患(気管支炎、喘息)、全疾患による入院をアウトカムとし、リスク要因とアウトカムとの関連を、気温、大気圧、季節性、曜日、祝日、年度、長期的トレンドによる調整をし、各大気汚染物質単位濃度による入院の相対リスクを時系列ポアソン回帰で分析した。尚、時差期間にわたる平均値を用いて調節を行った。 相対リスクは、時差0日で、PM2.5 10ug/m3上昇すると、全原因による入院は3.03%(95%信頼区間(CI) : -0.11%、6.19%)、クモ膜下出血が51.15%(95%CI : 6.58%, 97.69%)、浮遊粒子状物質 10ug/m3の上昇により、脳梗塞は15.67%(95%CI : 3.22%、28.28%)、二酸化硫黄 1ppbの上昇により、脳梗塞は9.32%(95%CI : 0.61%、18.78%)、といずれも上昇した。一酸化窒素1ppb上昇すると、全原因は時差0日で0.66%(95%CI : 0.05%、1.27%)、時差2日で0.72%(95%CI : 0.05%、1.38%)、くも膜下出血が時差2日で9.08%(95%CI : 1.49%、17.24%)、気管支炎が時差1日で5.69%(1.80%、9.74%)上昇した。 本研究では、PM2.5や他の大気汚染物質の大気中濃度は、多くが即日、入院の相対リスク上昇に寄与することが示唆された。
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