2012 Fiscal Year Research-status Report
ペルーの地域住民を対象にした胆嚢がん発生に関する環境・遺伝疫学研究
Project/Area Number |
24590767
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Niigata University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
山本 正治 新潟医療福祉大学, 健康科学部, 教授 (40018693)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
遠藤 和男 新潟医療福祉大学, 健康科学部, 教授 (60176790)
土屋 康雄 新潟医療福祉大学, 医療技術学部, 教授 (60334679)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 国際情報交換 / ペルー / 胆嚢がん / 環境要因 / 遺伝要因 |
Research Abstract |
平成24年度の計画は、ペルーの連携研究者を訪問し、研究打合せ後、胆嚢がん患者と胆石症患者から生活習慣、食習慣等に関する質問書の回収と遺伝要因解明のための試料(血液および組織標本)を採取することであった。 平成24年12月に連携研究者のDr. Piscoyaと研究打合せを行い、既に申請者らがこれまで国内外で実施してきた症例-対照研究の方法や成果、その他関連の研究成果について説明した。研究遂行についての同意が得られたので、新潟医療福祉大学と連携研究者の勤務先Peruana de Ciencias Aplicadas (UPC)大学において倫理委員会の承認を得た後、研究をスタートさせた。 対象者は、胆石を有する胆嚢がん患者(症例)と胆石症患者(対照)とした。対照は性、年齢(±5歳)をマッチさせ、該当する患者に対してペルーの研究者が本研究の主旨を説明し、同意書が得られた患者を対象者とした。 質問書については、症例-対照研究に関するペルー版を作成した。その内容は、食事習慣、職業、既往歴、産科受診歴等を中心とする60項目にわたる質問事項から成り、日本およびチリで既に使用したものが基本となっている。これらの質問事項を中心にペルー特有の食生活およびライフスタイルを新たに加えたものを協議の上、作成した。質問書は、ペルーの医師が対象者へ問診する形式で聞き取り調査を行い、約100ペアの収集を目指すこととなった。 質問書の回収、試料の採取及び保存は、現地の連携研究者に依頼することとした。研究打ち合わせ後に質問書及び試料の採取を開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度の目標は、ペルーの連携研究者と研究打合せ後、胆嚢がん患者と胆石症患者から生活習慣、食習慣等に関する質問書の回収と遺伝要因解明のための試料を採取することであった。研究実績で記述した通り、ペルーにおける胆嚢がんの成因解明研究をスタートさせることができたので研究はおおむね順調に進展しているといえる。 質問書と試料の採取は、連携研究者が勤務している病院の他、その知人が勤務しているペルー国内の主だった病院の医師が行うこととし、連携研究者がそれら病院の医師に協力依頼することに決まった。質問書と試料は100ペアの胆嚢がん患者と胆石症患者から採取することを目標としているが、平成25年3月末までに約10ペアの採取ができた。今年度も引き続き採取を継続し、目標とする数まで到達するように重ねて依頼した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度には、ペルーで収集した質問書と血液試料等を日本に持ち込み、コンピュータへの質問書データ入力とDNA 抽出、及び遺伝子多型の分析を行う予定である。 ペルーにおいて予定の試料数が採取され次第、現地を訪問(平成25年末、もしくは平成26年3月を予定)し、質問書と試料を受け取り、日本に持ち込む。質問書のデータは直ちにコンピュータに入力し、解析する。 DNAの抽出は、採取した試料から専用のキットを用いて行う予定である。その後、抽出したDNAを用いて遺伝子多型の分析を行う。検討する一塩基多型(SNP)は、約20項目、25~30種類を予定している。その方法は、TaqMan SNP Genotyping Assay法を中心に、一部の多型はAllele specific PCR法を用いて行う。日本及びチリでこれまで検討してきた以下のSNPsの分析を予定している。第1相薬物代謝酵素(CYP1A1)、第2相薬物代謝酵素(GSTM1, GSTT1, GSTP1)、細胞周期の制御に関する遺伝子(TP53)、胆石形成関連遺伝子(Apo A-I、Apo B、Apo C-I、Apo E、CETP、CYP7A1、LRPAP1、ABCG5、ABCG8)、カプサイシン代謝関連遺伝子(CYP2E1、CYP2C9、CYP3A4、CYP1A2)、アフラトキシンB1代謝関連遺伝子(CYP1A2、CYP2A6、CYP2B1、CYP2B6、CYP3A4、CYP3A7)。その他、本研究により新たな環境要因が明らかにされた場合、関連遺伝子の多型分析を行う予定である。 平成26年度には、組織標本から抽出したDNAを用いて遺伝子変異の分析を行う予定である。また、質問書と遺伝子多型分析から得られたデータを統計解析することで、環境要因と遺伝要因の交互作用の有無を明らかにする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
目標とする試料数が採取され次第、ペルーの連携研究者が保存している質問書と試料を受け取り、日本に持ち込むための日本とペルー間の往復旅費1名分を使用する。また、持ち込んだ試料の保存と抽出したDNA保存のためのフリーザーを1台購入する予定である。 研究支援者雇用費として、質問書のデータ入力、DNA抽出、遺伝子多型分析などの補助を行う検査技師を2名、各々40日分を使用する予定である。 消耗品として、採取した試料からDNA抽出のための専用キット、遺伝子多型分析のためのプローブ、PCR Master Mix、プライマー、アガロースゲル、96穴マイクロプレート、マイクロピペット用チップなど遺伝子多型分析に必要な消耗品の購入を予定している。 さらに、平成24年度の予算を使い、これまでの研究でボリビア産唐辛子のアフラトキシン汚染が胆嚢がん発症と関連している可能性が示唆されたことから、ペルー産赤唐辛子についてもアフラトキシンの分析を行う予定である。ペルーにおける胆嚢がん高発生地域とされるTrujilloの他、首都のLimaやCuscoなどで入手した赤唐辛子中のアフラトキシン分析を行い、得られた結果をもとにペルーにおける赤唐辛子のアフラトキシン汚染と胆嚢がん発症との関連の有無について明らかにする。このために、赤唐辛子購入費とアフラトキシン分析委託費を支出する予定である。
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