2015 Fiscal Year Annual Research Report
ペルーの地域住民を対象にした胆嚢がん発生に関する環境・遺伝疫学研究
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24590767
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Research Institution | Niigata University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
山本 正治 新潟医療福祉大学, 健康科学部, 教授 (40018693)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
遠藤 和男 新潟医療福祉大学, 健康科学部, 教授 (60176790)
土屋 康雄 新潟大学, 医歯(薬)学総合研究科, 客員研究員 (60334679)
浅井 孝夫 新潟医療福祉大学, 医療技術学部, 助教 (60612736)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 国際情報交換 / 遺伝子変異 / TP53 / K-ras / 赤唐辛子 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は、ペルーの首都、リマにある国立がん研究所で2001年5月から2015年1月までに胆嚢がんと診断された患者のパラフィン固定組織標本33例を日本に輸送してもらい、遺伝子変異解析を行った。その方法の概略は、次の通りである。各患者の組織から切片の作成、TMN分類による病理組織学的診断、切片からのDNA抽出、TP53 遺伝子変異解析(exon 5~8をDirect sequence法)、K-ras遺伝子変異解析(codon 12、13、61をDirect sequence法)、データ解析。 病理組織診断の結果、33例中の8例は胆嚢がんと診断されず、7例は癌の量が少量であったために解析が不能となり、18例の解析を行った。TP53変異は7例(7/18、38.9%)認められ、その内訳は、ミスセンス変異が5例(5/7、71.4%)、サイレント変異とフレームシフト変異が各々1例(1/7、14.3%)であった。さらに、transition変異はC→T型2例、G→A型2例の4例(4/7、57.1%)、transversion変異はG→C型2例(2/7、28.6%)であった。また、挿入型の1例(14.3%)では1塩基(T)挿入であった。しかし、K-ras遺伝子変異を示す試料は認められなかった。 ペルー胆嚢がん患者のTP53遺伝子変異率は38.9%で、ハンガリー(33.3%)、日本(50.0%)、ボリビア(50.0%)及びチリ(55.0%)患者の変異率との間に有意差はなかった。また、transversion変異(G/C→T/A変異)は外因性の発がん物質により生じるとされていることからペルーにおける胆嚢がん発症に外因性要因も関与していることを示唆している。 さらに、チリにおける胆嚢がん発症にアフラトキシンが関与している可能性が報告されたことから、ペルー産の生鮮赤唐辛子中のアフラトキシン類とオクラトキシンA濃度を調べた。Trujillo、Cusco、Limaで販売されている生鮮赤唐辛子中からはマイコトキシンは検出されなかった。収穫後の過程でマイコトキシン汚染が拡大していったと考えられた。
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Research Products
(1 results)