2013 Fiscal Year Research-status Report
紫外線障害に対する分子状水素を用いた新規予防法の開発と分子機構の解析
Project/Area Number |
24590768
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Research Institution | Chubu University |
Principal Investigator |
市原 正智 中部大学, 生命健康科学部, 教授 (00314013)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村雲 芳樹 北里大学, 医学部, 教授 (40324438)
祖父江 沙矢加 中部大学, 生命健康科学部, 助教 (50513347)
岩本 隆司 中部大学, 生命健康科学部, 教授 (60223426)
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Keywords | 水素 / 紫外線 / 線虫 / 酸化ストレス |
Research Abstract |
本研究の目的は紫外線障害に対する分子状水素を用いた新規予防法を提案することにある。昨年度は線虫寿命を指標にして、分子状水素が生体を紫外線障害から保護することを生存率、線虫卵を用いた孵化率、生殖細胞のアポトーシス細胞数等を検討し示した。さらにRNAi発現ベクターを投与して分子状水素の作用点の候補遺伝子をノックダウンすることで保護作用に関与する分子機構を明らかにする試みを行ったが、今年度は昨年度の検討点について再現性の確認を行った。この内age-1, daf-16, skn-1, wdr-23, rad-51, xpa-1, xpg-1, cep-1, hif-1の9種類の遺伝子の検討ではage-1, wdr-23, hif-1, rad-51のノックダウンにより水素の保護作用が減弱し生存期間に有意差が観察されなくなったことより、これらの分子の関連経路が分子状水素の紫外線障害保護効果に重要であることが示唆された。こうした結果は第36回日本分子生物学会で報告した。続いて分子状水素の投与の有無による遺伝子発現の変化を、DNAマイクロアレイを用いてマウス肝臓で比較した。Gene enrichment解析を行ったところ、一連のribosomal RNA発現が分子状水素により影響を受けていることが見いだされた。またreal time PCRにより実際にribosomal RNAの発現量が変動することを確認した。さらにGeneXplainによるネットワーク解析を行ったところ、mTORが上流に位置することが示唆された。線虫の検討で関連が指摘されたage-1は哺乳動物ではPI3Kに相当しmTORの上流に位置することからPI3K-Akt-mTOR経路が分子状水素の紫外線保護効果に関与している可能性が示唆された。現在その詳細な検討を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
分子状水素の紫外線暴露に対する生体保護効果を、線虫生存率を指標として検討して関連経路を同定した。この結果は、分子状水素の投与の有無で比較したラット肝臓の遺伝子発現の変化に関するネットワーク解析から得られた結果と相同性があることが確認され、種を越えた作用機構の可能性が示唆され現在詳細な検討を進めている。一方本研究ではヘアレスマウスをもちいた紫外線照射皮膚発癌モデルにおける分子状水素の皮膚発癌抑制効果の検討を予定している。これまで小規模な検討を加えたが、他の分子状水素に関する研究成果より、分子状水素の投与条件を変えることで、より強い保護効果が期待される事実が明らかになった。このため実験方法に再検討を加えて、この検討項目は26年度の中心課題としての位置付けで実施する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度はヘアレスマウスをもちいた紫外線照射皮膚発癌モデルにおける分子状水素の皮膚発癌抑制効果の検討を行い、新規予防法としての提案が可能かどうかを明らかにする。さらに昨年度までに明らかにした視点より分子機構に検討を加える。また水素の生体作用を仲介する分子の同定を、線虫で観察された結果より明らかにしていく事を予定している。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
購入業者の値引きが有り予定より残余が生じた。 26年度研究費の物品費に組み込み執行する。
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