2014 Fiscal Year Research-status Report
紫外線障害に対する分子状水素を用いた新規予防法の開発と分子機構の解析
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24590768
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Research Institution | Chubu University |
Principal Investigator |
市原 正智 中部大学, 生命健康科学部, 教授 (00314013)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村雲 芳樹 北里大学, 医学部, 教授 (40324438)
祖父江 沙矢加 中部大学, 臨床検査技術教育・実習センター, 助教 (50513347)
岩本 隆司 中部大学, 生命健康科学部, 教授 (60223426)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 水素 / 紫外線 / 線虫 / 酸化ストレス / 発癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は紫外線障害に対する分子状水素を用いた新規予防法を提案することにある。一昨年度は分子状水素が紫外線障害から生体を保護する効果について、線虫を用いて分子機構の検討を行い第36回日本分子生物学会で報告した。さらに昨年度は肝臓における分子状水素による遺伝子変化と、その上流で影響を受けると思われるシグナル伝達機構の解析を行い、成果の一部はMol Cell Biochemに報告した (Sobue et al., Mol Cell Biochem, 2015)。平成26年度はヘアレスマウスをもちいた紫外線照射皮膚発癌モデルにおける分子状水素の皮膚発癌抑制効果の検討を行った。6週齢ヘアレスマウス12匹を2群に分け水素投与群には水素ガス及び水素水の投与を開始した。非投与群には、脱気水と空気にて飼育した。7週齢より1回450mJ/cm2のUV照射を開始した。UV照射は1週間当たり3回の照射を30週間継続した。水素投与群と非投与群間で皮膚変化を観察したところ、13週目ごろより皮膚上皮の肥厚性病変を認め、さらに20週目前後に皮膚癌形成が観察された。今回の紫外線照射量では腫瘍の形成に明らかな差は観察されなかった。組織像は、角化した細胞や癌真珠、細胞分裂像、多核細胞が両群とも観察され差を認めなかった。一方生存率は水素投与群でやや高い傾向があった。こうした予備的結果を元に紫外線照射量の調整を行うとともに対象マウス数を増やして本検討を行い、平成27年度に水素の紫外線誘発性皮膚癌に対する抑制効果を詳細に明らかにする予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成26年度に行ったヘヤレスマウスを用いた紫外線照射皮膚発癌モデルでは、一連の評価に30週間以上の長期間を要した一方で、今回の紫外線照射量が比較的多量であったこと、コントロール群および水素投与群それぞれに6匹ずつの評価では腫瘍形成数に明瞭な差が見られなかったことより、種々の条件を変更した上で平成27年度に再検討を行う事とした。こうした理由で当初の研究期間の1年間延長に至った。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度にヘヤレスマウスを用いた紫外線照射皮膚発癌モデルについて紫外線照射量に変更を加えて、さらに多数匹のマウスを用いて観察された差が再現性をもち確認されるか等の検討を行うこととした。また平成27年度には紫外線を照射した線虫の寿命延長について新たに見いだした分子機構の解析を完結することも予定している。
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Causes of Carryover |
平成27年度にヘヤレスマウスを用いた紫外線照射皮膚発癌モデルについて実験期間を延長し実施することとしたことが次年度に使用額が生じた理由である。その結果、実験計画を一部変更し平成27年度の研究経費を確保した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
作製した紫外線照射皮膚癌発症モデルの組織病理学的検討、遺伝子発現の解析に経費を充てて研究を遂行する計画である。
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