2013 Fiscal Year Research-status Report
インフルエンザウイルスの不顕性感染メカニズムの解明
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24590786
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
岩附 研子 東京大学, 医科学研究所, 助教 (20376619)
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Keywords | インフルエンザ / パンデミック / 不顕性感染 |
Research Abstract |
本研究課題では、次の新型インフルエンザ発生によるパンデミックに対抗し得る免疫記憶機構の解明を目的としている。2013年春、中国でH7N9亜型のインフルエンザウイルスがヒトに感染した。そのため、本ウイルスが日本に入ってきた場合の被害の程度を予測するため、日本人が本ウイルスに対する抗体をどの程度保有しているかを解析した。東京大学医科学研究所の血清バンク(医科研血清バンク)から、2012年に採血した20歳から63歳のボランティア200人分の血清の分与を受け、中国の患者から分離したH7N9ウイルス(A/Anhui/1/2013(H7N9))に対する中和抗体価を測定した。その結果、200人全員の抗体価は4以下で、H7N9ウイルスと反応する抗体を全く持っていないことが明らかとなった。2009年のH1N1亜型のウイルスによるパンデミック発生時は、1918年以前に生まれた人がパンデミックウイルスに対する抗体を持っていた。また、1918年以降に生まれた成人も、不顕性感染が多く認められた。これは、本研究課題でもある季節性H1N1ウイルスによる何らかの免疫記憶が関係していると思われる。しかし、今回のH7N9亜型はこれまでヒトの間で流行したことの無い亜型であり、誰も抗体を持っていないことが明らかになったため、本ウイルスが日本に入ってきた場合、重症化する危険性があることが分かった。本研究で得られた結果は、中国で発生したH7N9ウイルスの性状を解析した論文の成果の一部として公表された(Nature 26:551-555, 2013)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2013年春に中国で発生したH7N9ウイルスについては、研究開始の2012年には想定していなかったが、本ウイルス発生に伴い迅速に解析を行い、論文発表の成果の一部として公表することが出来たことから、おおむね順調に進展していると考えた。
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Strategy for Future Research Activity |
H7N9ウイルスを含め、更に解析を進めていく。
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Research Products
(7 results)