2012 Fiscal Year Research-status Report
東日本大震災前後の脳卒中罹患状況の変化に関する研究
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24590810
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
大間々 真一 岩手医科大学, 医学部, 講師 (20453300)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 脳卒中 / 地震 / 津波 / 罹患率 / 疾患登録 |
Research Abstract |
東日本大震災前後の脳卒中罹患状況を把握するために平成24年度は次に挙げる項目の研究活動を行なった。 1.脳卒中登録データ悉皆調査体制の整備 調査対象地域である岩手県沿岸部全域と内陸北部での脳卒中悉皆登録体制を整備するために以下の項目を実施した。(1)岩手県地域脳卒中登録運営委員会、および岩手医科大学医学部倫理委員会より研究実施の承諾を得た。(2)研究対象の各医療機関で本研究の説明を行い、全ての医療機関より研究実施の承諾を得た。(3)医療機関に配置するリサーチナースに対して調査方法の教育と指導を行なった。(4)配置されたリサーチナースによる地域中核病院の調査と、訪問調査員によるその他の医療機関の訪問調査により、調査対象の全医療機関で平成20年1月1日から平成24年3月31日に罹患した脳卒中患者の後ろ向き悉皆調査を行ない脳卒中登録への追加登録を行なった。 2.脳卒中登録データの解析 上記で整備した脳卒中悉皆登録体制により悉皆性が高くなった岩手県地域脳卒中発症登録データを用いて、以下の解析と結果の公表を行なった。(1)岩手県地域県北コホート研究により岩手県沿岸北部と内陸北部で悉皆登録された平成20年3月31日までの脳卒中登録データと、本研究によって悉皆登録された同地域の脳卒中登録データを用いて、同地域の平成16年1月1日から平成20年12月31日まで5年間の脳卒中罹患率を算出した。この結果を論文発表した。(2)岩手県沿岸部全域と内陸北部において、東日本大震災の震災前2ヶ月間と震災後4ヶ月間の脳卒中罹患状況と震災前3年間同時期の脳卒中罹患状況とを比較し、震災後4週間は脳卒中罹患が増加していたこと、特に津波による浸水被害が甚大であった地域、男性、高齢者で脳卒中の増加が著しかったことを明らかにした。この結果を学会発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究初年度である平成24年度は、本研究の調査対象地域である岩手県沿岸部全域と内陸北部の地域中核医療機関にリサーチナースの配置と、その他の医療機関に訪問調査員を派遣し脳卒中登録の悉皆性調査を行ない脳卒中登録の悉皆登録体制を整備すること、および、平成20年3月11日から平成24年3月31日に罹患した脳卒中患者の後ろ向き悉皆調査を行ない、同時期の脳卒中登録を完了する目標としたが、これを平成25年1月末で達成した。平成25年2月からは平成24年4月1日以降に罹患した脳卒中患者の悉皆調査と追加登録を前倒しして開始した。 整備した悉皆調査体制により悉皆性の高まった岩手県地域脳卒中登録データを用いて、岩手県の脳卒中罹患の基礎データとして、平成16年から平成20年の県北地域の脳卒中罹患率を明らかにして論文で公表した。さらに東日本大震災が脳卒中罹患に与えた急性期から亜急性期の影響として、東日本大震災前と比較して震災後4週間で脳卒中罹患率が明らかに増加したこと、特に津波による浸水被害が甚大であった地域、男性、高齢者で増加が著しかったことを明らかにし、この結果を学会発表した。 以上より、本研究は平成24年度の研究目標を当初の計画以上に進展した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は研究対象地域において、震災から1年を過ぎた仮設住宅での生活、被災地域の生活基盤の復興が脳卒中罹患状況に与えた影響を明らかにする事を目的として、次に挙げる項目を実施する。 1.脳卒中登録データ悉皆調査体制の維持 研究対象地域でリサーチナース及び調査員による悉皆調査を継続し、平成24年4月1日から平成25年3月31日までに脳卒中に罹患した患者の悉皆的脳卒中登録を完了することを目標とする。 2.脳卒中登録データの解析 震災後1年の脳卒中罹患状況の変化、および、震災後2年目の中期的な視点で脳卒中罹患状況を明らかにし、特に津波被害が甚大であった地域で避難所生活から仮設住宅へ移行や、被災地の復興状況が脳卒中罹患状況に与えた影響を検討することを目標とする。 解析結果について協力医療機関にて成果発表を行なう。また、第39回日本脳卒中学会総会(平成26年3月大阪)にての結果発表を予定する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度の研究費のうち、直接経費の使用計画は、平成24年度の使用状況から以下のように計画する。 1.収入(平成25年度の交付予定)1,100,000円、(平成24年度からの繰り越し)12,395円、(合計)1.112,395円 2.支出(人件費・謝金)リサーチナースへの謝金850,000円、(旅費)リサーチナース研究打ち合わせ旅費、および訪問調査の旅費、学会発表旅費130,000円、(物品費)消耗品52,395円、(その他)論文作成費用80,000円、(合計)1,112,395円 3.収支 0円
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[Journal Article] Incidence rate of cerebrovascular diseases in northern Japan determined from the Iwate Stroke Registry with an inventory survey system2013
Author(s)
Shinichi Omama, Yuki Yoshida, Kuniaki Ogasawara, Akira Ogawa, Yasuhiro Ishibashi, Masaki Ohsawa, Kozo Tanno, Toshiyuki Onoda, Kazuyoshi Itai, Kiyomi Sakata, Akira Okayama
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Journal Title
Journal of stroke and cerebrovascular diseases
Volume: 22
Pages: e317-e322
DOI
Peer Reviewed
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