2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24590821
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Research Institution | Kanazawa Medical University |
Principal Investigator |
登坂 由香 金沢医科大学, 医学部, 講師 (90288275)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田畑 正司 金沢医科大学, 医学部, 非常勤講師 (40188404)
宮尾 克 名古屋大学, 情報科学研究科, 教授 (70157593)
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Keywords | 慢性腎疾患 / 喫煙 / 高血圧 / 血清γ-GT / HOMA-IR / 高感度CRP |
Research Abstract |
平成25年度は、CKDを保有する喫煙者の特徴を、喫煙及びCKDに合併する心血管リスクファクター(CV-RF)の面から検討した。 喫煙はCKDを惹起するが、実は、喫煙者の15%程度がCKDを発症するにすぎない。しかも、喫煙者のGFRはしばしば非喫煙者よりも高値を示す。これらの事実から、喫煙者の中に特にCKDを発症しやすい高感受性のグループの存在が伺われている。そこで、中年男性労働者923人を対象として、その高い感受性の由来を内臓肥満や高血圧、高脂血症、高血糖などの従来型CV-RFとともに、インスリン抵抗性指標であるHOMA-IRや、慢性炎症指標である血清高感度CRPや白血球数(WBC)など、新たなCV-RFとの関係から検討した。その結果、血圧と血清γ-glutamyltransferase (GT) の上昇に、喫煙とCKDの交互作用が有意であった。すなわち、喫煙しない者ではCKD保有者と非保有者の間で血圧、血清γ-GTの値にほとんど差がないが、喫煙する者では、CKD保有者でのそれらの値が著しい高かった。 以上の結果から、CKDを保有する喫煙者では、血圧と血清γ-GTが上昇していることが特徴と考えられたが、同時に検討したHOMA-IRや高感度CRPやWBCの示した喫煙やCKDとの関係は、血圧や血清γ-GTで見られた関係とは異なっていた。したがって、血圧や血清γ-GTの高値はCKDの原因として知られるインスリン抵抗性の上昇や慢性炎症の進展では十分に説明できなかった。今後、酸化ストレスなど、今回検討できなかったCV-RFについての検討を進める必要があると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
前年度から予定していた人間ドック受診者でのイヌリンを用いたGFRの実測について、予定していた協力医療機関において、業務変更により、宿泊人間ドックが廃止されたため、早朝空腹時採尿を含むGFR実測検査が行えなくなった。代替の医療機関を確保することができず、平成25年度内でのGFR実測検査の実施を断念した。その代わりに、血清クレアチニン(Cr)と血清シスタチンC(CysC)および尿アルブミン排泄量(ACR)を、前年度とは別の労働者集団で測定し、そこで得られる結果を前年度の結果と比較検討し、その再現性を検討することに方針を変更した。喫煙状況とCKDの保有および重症度との関係、喫煙者のACRやGFRへのBMIの影響、そして血清CrとCysCによる推算GFRの相互関係とBMIを考慮した新たなGFR推算式の算出など、前年度に得られた結果と比較検討する。 現在、データの収集は終了して、解析にとりかかったところである。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度に新たな工場労働者男性786人において、血清CrとCysCと血清インスリン、高感度CRP、尿ACR検査を含む健康診断を行い、喫煙など生活習慣とともに、データの収集を行った。今後、それらのデータについて、平成24年度に別の集団で行われた結果との一致度を検討する。すなわち、新たな集団での喫煙状況とCKDの保有および重症度との関係、喫煙者がBMIが小さいことのACRやGFRへの影響、そして血清CrとCysCによる推算GFRの相互関係、BMIを考慮した新たなGFR推算式などが、平成24年に得られた結果と一致する、すなわち再現性があるかどうかを検討する。ここで、新たなGFR推算式の高い再現性が得られれば、実用的有用性を示すことができる。 また、尿タンパクの簡易で精度の高い判定方法が強く求められており、クレアチニン同時測定尿タンパク試験紙が有用であるかどうかを検討する。
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