2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24590821
|
Research Institution | Kanazawa Medical University |
Principal Investigator |
登坂 由香 金沢医科大学, 医学部, 講師 (90288275)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田畑 正司 金沢医科大学, 医学部, 非常勤講師 (40188404)
宮尾 克 名古屋大学, 情報科学研究科, 教授 (70157593)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 慢性腎疾患 / 喫煙 / 高血圧 / 血清γ-GT / HOMA-IR / 高感度CRP |
Outline of Annual Research Achievements |
喫煙は慢性腎疾患(Chronic Kidney Disease: CKD)の危険因子であるが、一般集団における疫学研究ではしばしば喫煙者の糸球体濾過率(GFR)は非喫煙者よりも高値を示す。我々は喫煙者の高GFRが血清クレアチニン(cr)からの推算値(eGFRcr)を用いることによるとの仮説を立て、以下の2つの研究を行った。 1)2つの電子部品工場の1,587人の男性労働者で血清crとともに血清シスタチンC(cys)を測定し、日本腎臓学会の提唱するそれぞれのGFR推算値(eGFRcr、eGFRcys)を比較した。その結果、eGFRcysの平均値(95.1 mL/min/1.73m2)はeGFRcr(80.9)よりも著しく高いが、eGFRcrは喫煙者が非喫煙者より有意に高く、逆にeGFRcysは低かった。また、BMI低値者の血清crとcysはともに低いが、喫煙者の血清crが際立って低値であった。これらは2つの工場に共通であった。したがって、喫煙者でGFRの高値は、痩せた喫煙者での際立って低い血清crの反映であると考えられた。さらに、対象者からランダム抽出した1000人において、実測GFRを最もよく一致するとされるeGFRcrとeGFRcysの平均値を、eGFRcr、BMIと喫煙量から予測する式を作成し、その妥当性を残り587名の集団で検討したところ、十分高いことが確認できた。一般健常者集団でのCKDの疫学調査では、今後、この予測式を用いるのが良いと考えられた。 2)対象の労働者を喫煙とCKD保有の有無で4分して比較したところ、高血圧や血清γGT高値がCKDを有する喫煙者に特徴的な所見であった。しかし、喫煙者での高血圧やγGT高値とCKD発症との関連は、同時に測定した喫煙者でのインスリン抵抗性増大や慢性炎症の進展では説明できず、その意義についてはさらなる検討が必要となった。
|