2012 Fiscal Year Research-status Report
細胞老化制御による進行動脈硬化症退縮―本邦高齢者生活習慣病の新規治療法を目指して
Project/Area Number |
24590881
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
林 登志雄 名古屋大学, 医学部附属病院, 講師 (80303634)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
梅垣 宏行 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (40345898)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 抗老化 / 動脈硬化性疾患 / 遺伝子制御 / 一酸化窒素 / 内皮機能制御 |
Research Abstract |
1.高齢者に普遍的な食後高血糖(耐糖能異常)モデルの検討及び高グルコース下細胞老化機序の解明を行った。細胞老化はreplicative/stress induced 双方を検討し,上記モデルは通常の糖尿モデルと異なりstress induced senescenceである事、内皮機能ではNOよりも活性酸素制御の影響を大きく受ける事を見出した。抗老化療法による動脈硬化抑制(及び退縮)では、アルギニン、シトルリンが各々NO合成酵素を活性化し血管内皮機能改善を介し、抗動脈硬化作用を示し、同時に細胞(動脈内皮)老化も抑制する事を見出した。しかし、純粋な抗老化作用物質による動脈硬化抑制作用はまだ認められていない。食後高血糖モデルの細胞老化と動脈硬化との関連はNO合成酵素より、NADPH oxidase等活性酸素産生酵素に作用して示される事を明らかにし学会発表を開始した(論文執筆中)。 2.高齢者動脈硬化治療への有用性の動物モデルでの証明に関して、高齢者動脈硬化危険因子として加齢と性及び脂質異常症と耐糖能異常併存を想定し、加齢LDL-Rノックアウト(KO)マウス,apoE KOマウスで耐糖能異常は経管または腹腔内グルコースの1日2時間X2-3回投与の食後高血糖モデルを用意し,実験を開始した。当初予定よりやや遅れ結果は6月頃にでる予定である。 加齢進行動脈硬化病変への老化制御療法の有効性を明らかにしつつあり、surrogate markerによるヒトでの治験として。倫理委員会での研究承認後、老化指標マーカーでもあるtelomere長,NO代謝物や各種サイトカインのヒトでの測定技術をサザンブロット法等を改変し確立し、外来患者及び関連施設(特別)約100名にて同意を得て採血し検討をはじめた。やや遅れ、7月までには結果発表が可能になる予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1.高齢者に普遍的な食後高血糖(耐糖能異常)モデルの検討及び高グルコース下細胞老化機序の解明。機序の解明は概ね順調に進み学会及び論文発表を準備しているが、抗老化療法はアミノ酸等による検討は行ったが、純粋な抗老化作用(のみ)をもつ物質がなく、いくつかの実験を重複させる必要が有り若干の遅れを生じている。 2.高齢者動脈硬化治療への有用性の動物モデルでの証明に関して、加齢LDL-Rノックアウト(KO)マウス,apoE KOマウスのみでは耐糖能異常の検討は難しく、糖尿病モデルとの比較も行っているために若干の遅れを生じている。結果は6月頃にでる予定である。 surrogate markerによるヒトでの治験として。倫理委員会での研究承認後、老化指標マーカーでもあるtelomere長,NO代謝物や各種サイトカインのヒトでの測定技術をサザンブロット法等を改変し確立する(一度に一定数、10人程度の測定を可能にする)ことに時間を要したが現在は外来及び各高齢者施設に協力を要請し、検討を始められている。7月までには結果発表が可能になる予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
1.高齢者に普遍的な食後高血糖モデルの検討及び高グルコース下細胞老化機序の解明, 性差,アジア人(日本人)の特徴も踏まえ、海外調査で得た東アジア人の遺伝子変異(主任:Life Sci.09, Arch Ger Ger10等),厚生労働科研(主任)で得た後期高齢糖尿病患者の動脈硬化の特徴(Diab Care09等)を応用し、estrogen, BNP, NO, HDL-Cを検討する。 2.高齢者動脈硬化治療への有用性の動物モデルでの証明, 高齢者動脈硬化症進行を予防する細胞老化制御療法を検討する。24年度に用いた催動脈硬化マウスと共に、進行動脈硬化病変をもつ加齢動物モデルとして ①長期飼育2型糖尿病マウス、④同ストレプトゾトシン負荷糖尿病ラット等にて検討する。投与法は24年度に行った病期別の血管内皮,マクロファージ等の細胞老化を制御するtelomerase, estrogen, NO、p51等の老化関連物質(siRNA,拮抗剤等を含む)を試みる。 3.surrogate markerによるヒトでの治験。本邦高齢者健康長寿を目的とし検討する。従前の基盤研究B,厚生労働科研臨床研究で得た、東アジア人遺伝子変異(eNOSとHDL・TG, estrogen受容体とBNP,FactorVIIとHDL), 及び後期高齢糖尿病患者動脈硬化の特徴(HDL, LDL/HDL比)を踏まえmarkerを検討する。血液よりのテロメア長測定はサザンブロッテイング測定を確立し一定量同時測定が可能である。老化関連βガラクトシダーゼ活性を血液由来単球で検討する。厚労省研究等で後期高齢者への女性ホルモン補充療法等を施行し、血中のNO代謝活性をあげる目的でL-citrulline/L-arginine cycle活性化製剤等の特許(国内取得,海外申請中)をとり臨床試験に同意頂いた高齢者もおられるので、ご協力を頂く。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
1、2ともテロメア長、テロメラーゼ測定等、実験室での測定がふえるため、基本的に消耗品として、申請している。学会/論文発表等も行っていく予定である。
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