2012 Fiscal Year Research-status Report
腸管上皮リンパ球間クロストークによる免疫調節機構の解析
Project/Area Number |
24590936
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
永石 宇司 東京医科歯科大学, 医学部附属病院, 助教 (60447464)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 哲也 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 寄附講座准教授 (70265809)
渡辺 守 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (10175127)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 炎症性腸疾患 / 粘膜免疫 / クロストーク / サイトカイン / CD66a |
Research Abstract |
本研究は申請者らがこれまで見出してきた「腸管組織の恒常性維持に必須の免疫調節機構は、上皮細胞と粘膜内リンパ球間における連鎖・協調によって制御される」という独自の概念や知見を基盤として、腸管上皮細胞と粘膜内リンパ球とのクロストーク、およびそれによる粘膜内のサイトカイン分泌など免疫学的変動について着目している。その結果、本研究では当該研究期間に以下のような成果が得られた。1)テトラサイクリン応答制御システムを用いてT細胞株における接着因子CD66aの過剰発現系を構築し、生化学的解析を行った。その結果、in vivoにおけるT細胞受容体(TCR)の刺激によって誘導される特異的シグナルはCD66aの過剰発現によって有意に抑制されることが明らかになった。2)またそれと相関して、リコンビナントサイトカイン存在下においてTCRを刺激したときに誘導されるT細胞内のSTAT-4およびT-betの活性化もCD66aの過剰発現とリガンドによるその刺激によって有意に抑制されることが明らかになった。3)さらにこうした反応はCD66aの細胞内ドメインのある特定のtruncate変異株もしくはチロシン残基の過剰発現によってむしろ阻害されることが確認された。これらの研究結果はT細胞におけるCD66aの特異的シグナルが、少なくともin vitroにおけるTh1の誘導に対して抑制的に働く事実を暗示するものと思われる。さらにこの分子メカニズムがin vivoにおいて再現されるか否かについて現在解析を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
われわれが提唱する腸管粘膜の免疫調節機構は上皮細胞とリンパ球のクロストークが根幹にあり、CD66aがその中枢を担っていることに着目している。今回T細胞内におけるそのシグナルを解析した結果、in vitroで実証されたことは大きな躍進である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はさらに詳細な分子メカニズムを解析するとともに、遺伝子改変動物を用いてin vivoにおけるダイナミックな表現系の解析を行う予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度はさらに詳細な分子メカニズムを解析するために、ウイルスベクターに関連する培養、分子生物学関連試薬、および遺伝子改変動物の交配、維持に必要な経費に使用する予定である。
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