2012 Fiscal Year Research-status Report
MiRー224:肝癌を標的とした新たながん克服医療への展開
Project/Area Number |
24590953
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
邵 力 山形大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (80344787)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡辺 久剛 山形大学, 医学部, 講師 (00332536)
石井 里佳 山形大学, 医学部, 助教 (60466612)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 肝がん / microRNA / 分子標的治療 / 診断マーカー |
Research Abstract |
肝癌の発症、進展におけるmicroRNAの果たす役割は明らかにされつつあるが、その成果を臨床に応用するためのトランスレーショナル研究はまだ少数に過ぎない。我々はこれまでに、mir-224が肝細胞癌の浸潤及び転移に重要な役割を果たしていることを見出した。本研究では、miR-224の診断マーカー及び分子標的としての核酸新薬候補を創出することによる、肝癌転移の新たな診断・治療の開発基盤の確立を目指す。本年度は、これまでの研究において遺伝子解析に関する同意を得られた本院受診歴のある肝癌患者から、転移がある者とない者それぞれ25人ずつの血漿を採取した。Real-time TaqMan法を用いて血中miR-224を定量測定したところ、両群共に血中において極めて低いレベルであることが明らかになった。この結果より、血中miR-224が肝癌転移の診断マーカーとなる可能性は低いと考えられた。一方で、antagomir-224の癌転移抑制効果を評価するためのマウス癌浸潤転移モデルの作製条件を検討したところ、計画内で我々が樹立したmiR-224を恒常的に高発現する肝癌細胞株Huh7-GFP-R224の使用が、細胞増殖速度などの要因でHLF肝癌細胞株の利用に変更された。In vitro実験の結果、HLF細胞株を用いたantagomir-224が癌転移プロセスに影響を及ぼすことが確認された。また、HLF細胞株を用いた最適なantagomir-224を検討したところ、mirVana miR-224 inhibitorがanti-mir-224より、細胞のmiR-224のサイレンシング及び細胞浸潤能に及ぼす影響が有意に大きいことが明らかになった。今後、さらにもう一種類のantagomir-224を候補として検討し、その結果から効率的かつ安定的なantagomir-224を決定する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1)計画通りにreal-time PCR法を用いた血中miR-224の定量測定方法を確立し、転移性肝癌の患者と非転移性肝癌の患者において血中mir-224のレベルを比較した。検討の結果、血中miR-224はどちらとも極めて低いレベルであり、肝癌転移の診断マーカーとしての展開可能性は低いと考えられた。 2)肝癌細胞株を用いたマウス癌浸潤転移モデルの作製が、利用細胞株の変更で計画によりやや遅れた。マウスモデルを作製するために、我々のこれまでの研究で樹立したmiR-224を恒常的に高発現する肝癌細胞株Huh7-GFP-R224を利用する予定であったが、細胞増殖が非常に遅いため、HLF肝癌細胞株の利用に変更となった。そのため、HLF細胞株においてmir-224の高発現及びantagomir-224が癌転移プロセスに影響を及ぼすことは確認されたが、マウス癌浸潤転移モデルの作製を年度内に実現することはできなかった。 3)25年度に予定していた培養細胞を用いた最適なantagomir-224の選択が計画によりやや早く進展された。その結果、mirVana miR-224 inhibitorが有力なantagomir-224であることが示唆された。
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Strategy for Future Research Activity |
1)早急にマウス癌浸潤転移モデルを作製する。具体的に、BALB/cヌードマウス20匹(オス、週齢:4w)を10匹ずつ2群に分け、miR-224を高発現する肝癌細胞株HLFを用いて、それぞれ0.5x、1x107/300μl/匹ずつマウスに皮下移植を行い、腫瘍の形成や転移の有無を肉眼的・病理学的に検査・比較するその結果により、antagomir-224の癌転移抑制効果を評価するためのマウス癌浸潤転移モデルの作製条件を決める。 2)上記マウスモデルを用いて最適なantagomir-224の生体への導入条件を検討し、さらにそのantagomir-224の肝癌転移の抑制効果を評価する。Antagomir-224の生体への導入は最も汎用性の高いアテロコラーゲンDDSを用いて行うことが計画されたが、今後最適なantagomir-224決まり次第に新規DDSの応用を試みていく予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度の研究費の使用は、以下の如く計画された。 1)ヌーとマウス 400,000円 2)マウス飼育負担 100,000円 3)標本製作関連試薬 100,000円 4)細胞培養培地等 97,916円
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Research Products
(4 results)