2014 Fiscal Year Annual Research Report
膵癌の発癌進展過程を通じ高発現する膵癌特異的抗原の機能解析と臨床応用
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24591007
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
伊地知 秀明 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (70463841)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊佐山 浩通 東京大学, 医学部附属病院, 准教授 (70376458)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 膵癌 / PSCA |
Outline of Annual Research Achievements |
膵癌の発癌過程において早期から進行期までを通じ高発現している抗原PSCA(prostate stem cell antigen)は、膵癌の発癌機序の根幹にかかわっている可能性があると共に、治療標的かつ早期診断にも用いることが出来る可能性がある。我々は、臨床の膵癌組織像をよく再現する遺伝子改変マウスモデル(膵臓上皮特異的変異型Kras発現+Tgfbr2ノックアウト)を樹立し既に報告している。このマウス膵癌組織から樹立した膵癌細胞では、前癌病変の細胞(変異型Kras発現のみ)に比べ、PSCAが有意に高発現していた。また、PSCAは前癌病変の段階から発現が増強し始めているとの報告もある。本研究にて、ヒト膵癌細胞株のPSCAを恒常的にノックダウンしたところ、in vitroにおける細胞増殖が著明に抑制され細胞死に至った。この結果から、PSCAの機能的重要性が示唆された。次に、テトラサイクリン誘導性のヒトPSCAノックダウン細胞株も樹立し、PSCAノックダウンを誘導すると、やはり対照株と比較し細胞増殖が抑制され細胞死に至り、アポトーシスが生じていることがわかった。PSCAが細胞内シグナル伝達に与える影響はこれまで不明であり、PSCAノックダウン細胞でのMAPK, PI3K, STAT3シグナルの変化を検討したが、対照と比較し有意な変化は得られなかった。PSCAの発現とTGF-betaシグナルとの関連を検討したところ、TGF-beta刺激によりPSCA発現が減弱する傾向、SMAD4ノックダウンによりPSCA発現が増強する傾向を示したが、有意差は得られなかった。これまでの検討にてPSCAの機能的重要性は示されたが、その機序の詳細はまだ不明な点が多い。臨床的にPSCA中和抗体を用いた治療法が検討されており、PSCA分子の機能とその機序につき新たな知見が得られると新規治療の開発に有用である。
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