2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24591024
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
金子 剛 筑波大学, 医学医療系, 講師 (90510181)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松井 裕史 筑波大学, 医学医療系, 講師 (70272200)
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Keywords | 悪性腫瘍 / 細胞膜流動性 / 光学的生検 |
Research Abstract |
【背景】光を用いた生体観察技術は、低侵襲性と鋭敏さから医学生物学領域で幅広く用いられている。この技術の一つである内視鏡は、患者に侵襲を加えることなく各種消化管疾病を観察し、診断・治療することが可能であり、現代の消化器病学に必須の機器である。近年、より鋭敏かつ客観的な内視鏡診断を目的として、不可視領域の可視化技術に注目が寄せられている。 【目的】本研究は、病態生理を反映しかつ内視鏡に利用応用可能な光計測技術として「蛍光偏光解消法」を取り上げ、同法によって癌部・非癌部の区別が可能か否かをヒト大腸癌手術検体にて検討する。これにより蛍光偏光解消値という客観的数値による癌の領域診断を行うという試みである。【方法】平成24~25年度において当院にて手術を施行された担癌患者・14人を用い検討を行った。癌部・非癌部の蛍光偏光解消値(FP値)はCCD搭載の蛍光顕微鏡と画像プロセッサにて算出された。この他、H&E染色・免疫組織学的染色により病理学的検索を行った。【結果】a)蛍光偏光解消法による検討結果 HE染色にて正常と判断された領域のFP値は0.3±0.12であり、同様に腺腫・高分化腺癌および低分化腺癌と診断された領域のFP値は各々0.14±0.03、0.16±0.11、0.25±0.14であった。腫瘍性変化によりFP値の低下傾向を認めた。b)病理組織学的・免疫組織学的検討 8-OHdG染色性においては腺腫>高分化腺癌>未分化癌>非癌部の順で強く染色される傾向を認めたが、抗4HNE抗体による染色では一定の傾向を示さなかった。【考察】本検討により癌部において膜流動性が亢進していることが示された。同結果は脂質二重層という細胞膜の物理的性質(流動性)が癌と正常細胞において相違があることを示唆する。これは同法による数値診断が可能であることを意味し、光学的生検方法として同法が有効である可能性を示す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は20例の目標に対し、現在まで14例まで検討を行っておりほぼ順調な経過である。しかし測定機器の経年劣化による故障が時に認められるため、現在は代替え器を借用して実験を進めている状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は計画書通りに推進の予定であるが、11.現在までの達成度に記載した理由にて、研究の一部遅延も生じている。演算装置の借用にて対応する予定であるが、サンプルサイズを縮小し論文化の方針も検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度は測定機器の故障など不慮の事態が生じ、検討数が少なかったため。 測定器の借用にて対応し検討を重ねる予定。
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Research Products
(4 results)