2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24591047
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
新谷 理 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 寄附講座准教授 (20309777)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
室原 豊明 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (90299503)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 貴下脂肪細胞由来間葉系前駆細胞 / 内皮前駆細胞 / M2マクロファージ / 抗炎症作用 / 血管新生 |
Outline of Annual Research Achievements |
脂肪細胞由来間葉系前駆細胞(ADRC)を移植することで、虚血誘発性血管再生の過程を促進することが報告されているが、その詳細なメカニズムは解明されていない。骨髄由来単核球細胞移植(BM-MNC)も同様に、この過程を促進することが報告されているが、両者の有効性について比較した報告は無い。そこで、本研究では、ADRCの血管新生メカニズムを解明するとともに、その効果をBM-MNC移植による血管新生効果と比較した。 まずin-vitro実験で、ADRCおよびBM-MNCのcondition mediumは、HUVEC細胞のmigrationを亢進させ、また、アポトーシスを抑制する作用があることを確認した。下肢虚血モデルにそれぞれの細胞を移植したところ、コントロールに比べ両者とも血管新生効果があることが観察されたが、ADRC群にてその効果が顕著であった。 ADRCの血管新生促進作用のメカニズムを明らかにするため、炎症性サイトカインに注目した。ADRC治療群は、抗炎症作用を持つIL-10の発現が亢進しており、また、TNF-aやIL-6などの炎症性サイトカインの低下が観察された。このようなサイトカインはマクロファージより分泌されるため、その分画を調べたところ、ADRC治療群において有意にM2マクロファージ分画が増加していた。また、IL-10の中和抗体を用いるとADRCの移植効果はキャンセルされた。また、ADRC治療群では、VEGFやHGFなどの血管新生因子も上昇していることが確認された。以上より、ADRCによる血管新生促進作用は、血管新生促進因子を増加させるとともに、抗炎症作用を持つM2マクロファージの増加を促すことで、過剰な炎症を低減し、虚血により誘発される細胞障害を抑制しているものと考えられた。 現在、我々の施設では、下肢虚血患者に、BM-MNC移植とADRC移植をそれぞれ行っているが、本研究により、ADRC移植がより効果的である可能性が示されたため、今後は、ADRC移植にシフトして行くものと思われる。
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