2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24591060
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
野出 孝一 佐賀大学, 医学部, 教授 (80359950)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
勝谷 友宏 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (30311757)
尾山 純一 佐賀大学, 医学部, 教授 (30359939)
今井 潤 東北大学, 薬学研究科(研究院), 教授 (40133946)
坂田 泰彦 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (90379206)
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Keywords | 時計遺伝子 / 運動 |
Research Abstract |
本研究では健常人における運動の時計遺伝子への作用や、仮面高血圧における血圧変動や心筋梗塞の発症時間における体内時計遺伝子の意義を明らかにするために、各疾患群での時計遺伝子の活性測定や時計遺伝子の多型解析を行った。また、時計遺伝子欠損マウスを用いて動脈硬化や心不全等の生活習慣病発症解析を行い体内リズム異常と循環器病の連関を検討した。 運動が体内リズムへどう作用するか検討する為に、毛包細胞を使い時計遺伝子活性を測定した。起床時間や食事時間を試験期内は一定にしておき、4時間おきに毛包細胞の時計遺伝子発現を測定した。20時から22時までの夜の運動トレーニングでは、夜間運動を行わない時期に比べると、2時間から4時間の時相の遅れが見られた。時計遺伝子発現の最大の振幅は、夜のトレーニングより影響を受けなかった。 以上の結果より、強力な運動は時計遺伝子発現の位相に影響を与えることが明らかになった。運動療法がリズム異常による病気の治療になる可能性と、アスリートが体内リズムを正常に維持し、適正な運動効率を保つためには厳格な運動時間のスケジュール管理が必要であることが本研究から明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
運動と時計遺伝子活性の関係の論文を、J of Circulation Rythms誌に発表した。NPAS2がBMAL1と協調して作用することをJBC誌に公表した。 健常群での時計遺伝子活性測定に加えて、慢性心不全、睡眠時無呼吸患者における時計遺伝子活性の測定も順調に進んでいる。現時点でのデータでは、毛包細胞を用いた、時計遺伝子PERIOD-2やBMAL-1活性変動の評価では、健常群と疾患群で差があることが明らかになった。大阪大学でのOACIS研究における時計遺伝子のSNP解析も現在進行中である。 又、社会保険浦之崎病院で行われている職域健診でも、PSQIを用いた睡眠調査と、高分子アディポネクチンやNT-proBNP等の血液バイオマーカーの測定が終了し、睡眠やライフスタイルとの連関を現在解析中である。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)臨床的検討として、クロノス研究を継続する。 (2)時計遺伝子の基礎的検討 プロモーター解析 各時計遺伝子ゲノム多型が生理的な意義を有するか否かを検討するために、以下の実験を実施する。 (1)プロモーター多型:遺伝子発現調節領域であるプロモーターに多型が存在する場合、同遺伝子における転写レベルにおける影響を調べる。プロモーターとレポーター遺伝子を融合したコンストラクトを作成し、細胞に導入後レポーターアッセイを行う。(2)イントロン多型:多型がイントロンに存在する場合、多型間で表現系が異なる原因として最も考えやすいのは、スプライシングの違いである。まず、多型間でスプライシングバリアントの発現パターンに変化が生じていないか検討する。違いがあるならば、各バリアントの産物(タンパク質)間での機能の違いを検討し、個体における表現系発生の機序を予測する。(3)エキソン多型:エキソン内に多型が存在する場合、その多型がmRNAの配列における違いをもたらすものなのか判別する。
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