2012 Fiscal Year Research-status Report
肺高血圧症における血管平滑筋細胞増殖マーカーLR11の役割
Project/Area Number |
24591069
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
小西 博応 順天堂大学, 医学部, 准教授 (50459145)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 肺高血圧症 / バイオマーカー |
Research Abstract |
肺高血圧症は、未治療の予後は極めて不良であるが、近年肺高血圧に対する治療薬が開発され、Quality of lifeの改善、生存率の改善が期待できるようになって来た。明らかな症状出現時には、既に高度の肺高血圧症に進展していることがあり、可逆的な変化にとどまっている早期に診断、治療を開始することが重要である。現状では、心臓エコー検査を用い推定右室圧を測定しスクリーニングをすることが一般的であるが、早期診断の適したバイオマーカーがない。本研究で① 血管平滑筋細胞増殖のあらたなるマーカーであるLR11が、肺高血圧の新たなるバイオマーカーになるか、②LR11欠損マウスを用い、肺血管リモデリングに対するメカニズムを解明する。本年、右心カテーテル検査でmPAが25mmHg以上であった肺高血圧症患者の内、PAHに分類された33名(特発性14名、膠原病性15名、遺伝性3名、先天性心疾患1名)及びCTEPHに分類された14名の血清中の可溶性LR11濃度を、測定した。比較として、健常者ボランティア57名の血清中の可溶性LR11濃度も測定した。PAH患者及びCTEPH患者の血清中の可溶性LR11濃度は、それぞれ11.5±4.7ng/mL、7.6±2.4ng/mLであり、PAH患者群はCTEPH患者群と比較して、有意に(p<0.005)に高値だった。又、健常者ボランティアの血清中の可溶性LR11濃度は7.8±1.6ng/mLであり、CTEPH患者の場合は、有意差は認めないが、PAH患者の場合は、健常者ボランティアより、有意に(p<0.001)血液中のLR11濃度が上昇していた。現在、臨床研究では、治療効果判定についても検討中である。また基礎研究では、マウス低酸素負荷モデルで、10%酸素下飼育で、LR11欠損マウスでは、野生群と比して血管壁肥厚が抑制されており、肺動脈圧に差がないか検討中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
臨床研究では、1年目に、横断研究で肺動脈性肺高血圧患者では、コントロール群、肺血栓塞栓性肺高血圧症患者よりLR11濃度が有意に高いことを示した。今後、治療の効果判定になるか、またメカニズム解明のため、基礎研究の結果を確認する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、肺動脈性肺高血圧症患者のLR11濃度が高い結果を得ている。今後、疑い症例を含め、右心カテーテル検査を施行し、バイオマーカーとしてのカットオフ値を得ると同時に、治療経過でLR11濃度が、治療の効果判定に用いることができるか検討する。 基礎研究では、、LR11欠損マウスでは、低酸素負荷での壁肥厚が抑制されいるが、血管平滑筋細胞の低酸素負荷によりLR11の発現抑制が新たなる治療薬の開発に用いれる可能性を探求する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
他のバイオマーカー(NT-proBNP,ADMA,UA)とLR11濃度との比較および学会発表。 基礎研究のマウス、ラット代および試薬代として用いる予定。
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