2013 Fiscal Year Research-status Report
サーファクタント蛋白質による抗菌ペプチドの細胞傷害性抑制の分子機構解明と臨床応用
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24591173
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
有木 茂 札幌医科大学, 医学部, 講師 (80464478)
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Keywords | サーファクタントタンパク質 / 抗菌ペプチド |
Research Abstract |
今年度は、マウスへ経気道的にヒトbeta-ディフェンシン3 (hBD3) を投与した際のサイトカイン産生、遊走してくる炎症細胞の種類に着目して解析を行った。さらにhBD3とSP-A由来ペプチドを同時に投与した場合の比較検討も行った。 hBD3を投与したマウス肺では、肺胞洗浄液中へのLDHの漏出や肺胞壁の肥厚など、組織傷害を示す所見がみられた。hBD3投与時にSP-A由来ペプチドを混合した群では組織傷害が抑制されていた。 hBD3を投与したマウスの肺胞洗浄液を行い、洗浄液中のサイトカインやケモカインを測定すると、IL-5、CCL2、TIMP-1が有意に増加していた。また、洗浄液中に回収された白血球数も増加しており、好中球、単球、好酸球、リンパ球の有意な増加が確認できた。これらサイトカイン、ケモカイン、炎症細胞数の増加は、hBD3とSP-A由来ペプチドを混合したマウスではコントロール群と同程度まで低下していた。これらの結果は、SP-A由来ペプチドを用いた場合でも、SP-A全長を用いた場合と同様に、hBD3を投与した際の肺傷害を抑制できることを示している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初計画になかったサイトカインの測定を行ったため、肺炎モデルマウスを用いた治療効果の検討を開始することはできなかった。しかし、サイトカイン測定、炎症細胞の種類の解析ができたことで、hBD3によりおこる肺傷害の状況をより詳細に知ることができた。これらの知見は、今後の研究遂行の過程で重要になると考えられる。また、SP-A由来ペプチドによる肺傷害抑制効果は確認できた。 一部に遅れはあるものの、研究計画以上のデータを得られた部分もあり、最終的には期間内に研究計画を遂行できると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでのところ研究計画の大幅な変更を要するような結果は得られていないので、今後も研究計画通りに推進する。具体的には、感染モデルマウスにhBD3とSP-A由来ペプチドの同時投与により治療効果が得られるのかを解析する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度から平成26年度は、年度をまたいだ解析が研究計画に含まれている。これらの解析に必要な試薬の使用期限を考慮し、平成26年度に購入する方が望ましい物品があったため、その購入費用を次年度使用額として繰り越した。 生じた翌年度使用額は物品費として使用する。生じた額が少額であるため、使用計画の大幅な変更はない。
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Research Products
(8 results)