2014 Fiscal Year Annual Research Report
胸部悪性腫瘍における分子生物学的診断の試みと新規バイオマーカーの探索研究
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24591186
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
山本 信之 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (60298966)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
洪 泰浩 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (80426519)
芹澤 昌邦 静岡県立静岡がんセンター(研究所), その他部局等, その他 (00569915)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 遺伝子異常 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究テーマにおいては、肺がんを中心とする胸部原発悪性腫瘍の分子生物学的診断手法の確立と治療標的分子の探索研究における取り組みを行った。本年度及び研究期間全般における成果について以下に述べる。 肺腺がんにおいて、がん関連遺伝子での変異の測定を実施した。測定項目としてはEGFR、KRAS、BRAF、PIK3CA、NRAS、MEK1、AKT1、PTEN,およびHER2の9遺伝子(EGFR、KRAS、BRAF、PIK3CA、NRAS、MEK1、AKT1、PTEN,およびHER2)における23か所の変異検出を実施した。411例中最も頻度が高く検出されたのはEGFR変異であり (35.0%)、その他にKRAS変異(8.5%)およびALK 遺伝子融合(5.0%)等が頻度高く検出された。また22例(5.4%)において、同時に2つ以上の遺伝子変異が観察された。日本人の肺腺がん症例におけるこれまでで最大規模の検討であり、論文報告を行うことができた。 一方、小細胞肺がんにおける検討では、肺腺がんと比較すると遺伝子変異検出率は大幅に低く、いわゆるドライバー遺伝子変異とされるものの存在は頻度が高くないことが示唆される結果であった。その中で、PIK3CA増幅が6例において検出され、小細胞肺がんにおける治療標的となり得る可能性が示唆された。また小細胞肺がん患者からの組織を用いてチロシンキナーゼ活性の網羅的測定を行い、治療標的となり得る特異的なキナーゼを同定することができた。 上記の遺伝子変異検出についてはパイロシーケンサーにて検出を行っていたが、より網羅的な変異検出を目的として次世代シークエンサーを用いての変異検出系の確立を行った。48遺伝子におけるがん関連遺伝子での体細胞変異を、300例をこえる臨床検体を用いての検討を実施し、米国癌学会総会において発表を行った。
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Research Products
(9 results)