2012 Fiscal Year Research-status Report
糸球体障害におけるポドサイトと内皮細胞の細胞間協調メカニズムの解明
Project/Area Number |
24591187
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
清元 秀泰 東北大学, 東北メディカル・メガバンク機構, 教授 (00304585)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森脇 久美子 香川大学, 医学部附属病院, 助教 (90398040)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 血栓性微小血管炎 / 慢性糸球体腎炎 / PAI-1阻害薬 / ポドサイト / 内皮細胞 / VEGF / ER4G / 抗Thy1.1腎炎 |
Research Abstract |
Pristaneをあらかじめ投与したBALCマウス(4週令)の腹腔に、ER4GクローンB細胞ハイブリドーマを注入し、腹水を回収し腎炎惹起抗体を精製する。ついで、これを6週令のSDラットに経静脈的にER4G抗体:1mg/kgを投与し、重篤な血栓性微小血管炎(TMA)モデルを誘導する。腎障害はメタボリックケージにラットによるクリアランス試験により機能評価を行い、さらに一般的な病理評価に加えWT-1染色、デスミン染色ED-1染色、PTAH染色など免疫染色で高度な腎組織変化を評価する。具体的な病理評価は以下の通り行う。 十分な深度の麻酔をかけたラットの両腎を灌流した後に回収し、腎組織をホルマリン固定、OCTコンパウンドにそれぞれ固定する。ホルマリン固定切片は通常の病理スコア(微小動脈瘤形成スコアを含む)を算出する。一方、OCT包埋されたサンプルは免疫染色、もしくは特殊染色を行い詳細なタンパク発現を検討する。 一方、動物実験系と並行して分化度の高い培養ポドサイト系を確立し、ポドサイト障害に関与するタンパクの発現調節と薬剤有効性に関して、RT-PCR、ウエスタン・ブロッテイング法などによる直接的な効果を検証できる体制を確立する。 さらに東北大学でin silico解析から合成され、最適された新規plasminogen activator inhibitor-1(PAI-1)阻害薬を用いて、in vivoおよびin vitroでの検証系においてそのPAI-1薬物有効性について、ポドサイトの保護効果を通じた腎炎の発症・進展にPAI-1阻害が有効であるか、特に血栓性血小板減少性紫斑病に認められるような内皮細胞障害型TMA様病変が軽快するかを検討する。そして、類縁新規化合物を含めPAI-1阻害効果と臓器障害の改善効果を確認し、薬剤最適化も合わせて研究を継続する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Pristaneをあらかじめ投与したBALCマウス(4週令)の腹腔に、ER4GクローンB細胞ハイブリドーマを注入し、腹水を回収し精製した。これを、6週令のSDラットに経静脈的にER4G抗体:1mg/kgを投与し、重篤な血栓性微小血管炎(TMA)モデルを確認した。腎障害はメタボリックケージにラットによるクリアランス試験とWT-1染色、デスミン染色ED-1染色、PTAH染色など免疫染色で腎組織変化を評価できる体制を確立した。 一方、動物実験系と並行して分化度の高い培養ポドサイト系を確立し、ポドサイト障害に関与するタンパクの発現調節と薬剤有効性に関して、RT-PCR、ウエスタン・ブロッテイング法などによる直接的な効果を検証できる体制を確立できた。 現在、東北大学でin silico解析から合成され、最適された新規plasminogen activator inhibitor-1(PAI-1)阻害薬TM-5275を用いて、in vivoおよびin vitroでの薬物有効性について、ポドサイトの保護効果を通じた腎炎の発症・進展にPAI-1阻害が有効であるか、特に血栓性血小板減少性紫斑病に認められるような内皮細胞障害型TMA様病変が軽快するかを検討している。現在、この類縁新規化合物を含めPAI-1阻害効果と臓器障害の改善効果を確認しており、薬剤最適化も合わせて研究を継続している。 以上、現時点で目標とすべき実験系と検証系がほぼ確立できたことより、この研究を続けることによってある一定の研究成果を得ることが可能と思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
実験腎炎(in vivo系)は惹起抗体にER4Gを持ちいているものの、抗Thy1.1腎炎はポドサイト障害のみを特異的に誘導する腎炎モデルではない。そこで、Nephrin promoterを用いてポドサイト特異的にhCD25を発現させたNEP25マウスにimmunotoxin(LMB2)投与を行い、ポドサイト特異的障害からcollapsing type FSGSを起こし、ポドサイト障害と腎障害発症・進展のメカニズムを明らかにする。マウスとラットの種差のある腎炎モデルとの病態比較と薬剤反応性を検討する。また、抗Thy1.1腎炎に対して、PAI-1阻害薬以外に抗VEGF抗体を投与し、PAI-1阻害薬が血栓を介する機序であるか、それとも内皮細胞と上皮細胞の細胞間のクロストーク阻害によって腎障害が発症しているかどうか検討する。 さらに、in vitro系では確立したポドサイト培養系と内皮細胞培養を無血清培地にて24時間共培養し、その関連性を解明すべく努力する。共培養培地の中に抗VEGF抗体、PAI-1阻害薬、スタチンなど内皮機能に影響を与えると想定される薬剤をin vitro培養系に低濃度から高濃度まで投与し、細胞間のクロストークへの影響を検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
マウス・ラット購入・飼育費、細胞培養試薬一式、リアルタイムPCR試薬、抗VEGF抗体、免疫病理検討用試薬など購入し、上記研究を推進する。
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Research Products
(1 results)