2014 Fiscal Year Annual Research Report
敗血症性急性腎傷害におけるミトコンドリア由来ダメージ関連分子パターンの役割の検討
Project/Area Number |
24591194
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
安田 日出夫 浜松医科大学, 医学部附属病院, 講師 (60432209)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
辻 孝之 浜松医科大学, 医学部, 助教 (30464126)
加藤 明彦 浜松医科大学, 医学部附属病院, 准教授 (60324357)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 急性腎障害 / 敗血症 / 自然免疫 / ミトコンドリアDNA |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、ミトコンドリア(mt)DNAがダメージ関連分子パターン(DAMPs)として敗血症による急性腎傷害に関連するかを検討することである。これまでに、Cecal ligation and puncture (CLP)によるマウス敗血症急性腎障害(acute kidney injury : AKI)モデルで全身循環mtDNAが増加すること、mtDNAを含むmtDebrisをマウスに注入すると早期に腎酸化ストレスが蓄積し、TLR9KOでその蓄積は軽減することを明らかにした。 H26年度は以下の実験を行なった。 1) mtDebris投与による腎障害として電子顕微鏡を用いて腎尿細管のミトコンドリアの形態異常を評価した。 mtDebris投与により腎近位尿細管のミトコンドリアは疎になり円形に腫大し形態異常をきたした。これらの形態異常はTLR9KOで回復した。2) 脾臓アポトーシスや血漿中IL-12はCLPで増加し、TLR9KOによって軽減した。この現象がmtDebris投与後にも、脾臓アポトーシスと血漿IL-12は増加し、TLR9KOで軽減した。3) 腹腔内のmtDNAはCLPで増加し、TLR9KOでより一層増加した。腹腔内への白血球浸潤も同様の動態を示した。CLP後の血液培養では、TLR9KOによって血液中の細菌数は軽減した。 以上より、mtDNAの投与により腎ミトコンドリア異常、脾臓アポトーシス、血漿IL-12を誘導し、これらはTLR9KOでいずれも軽減することを示した。このことからmtDNAはTLR9を介して自然免疫を活性化し腎障害を誘導することが明らかとなった。また、腹膜炎による敗血症では、TLR9KOによって白血球浸潤とmtDNAが腹腔内で増加し、菌血症は軽減されたことから、TLR9は感染巣への白血球遊走を妨げることで細菌排除能を低下させることが示唆された。
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Research Products
(2 results)