2012 Fiscal Year Research-status Report
高度たんぱく質制限の尿細管オートファジー活性化を介した糖尿病腎症抑制機序の解明
Project/Area Number |
24591218
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kanazawa Medical University |
Principal Investigator |
北田 宗弘 金沢医科大学, 医学部, 講師 (40434469)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古家 大祐 金沢医科大学, 医学部, 教授 (70242980)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 糖尿病性腎症 / たんぱく質制限食 / オートファジー |
Research Abstract |
2型糖尿病腎症の発症・進展に対する高度たんぱく質制限の腎保護効果を検証するため、Wistar fatty (fa/fa)ラット(6週齢雄)と対照ラットを通常食(CD; たんぱく質22%、脂質5.4%、炭水化物66.5%)群とたんぱく質制限食(LPD; たんぱく質5%、脂質10%、炭水化物76.2%)群に分別し、体重・摂食量・血糖値(空腹)・血圧を4週間ごとに測定し、28週後にHbA1C値・IRI・インスリン耐容能試験(ITT)・総コレステロール(CHO)・中性脂肪(TG)・尿アルブミン排泄量(UALB)・腎重量・腎組織を評価した。糖尿病ラットの両群間で摂食量に差はなかったが、CD群と比較してLPD群で、体重(CD:LPD 745.3±26.6:573.7±52.5g, n=3, p<0.01)および腎重量(CD:LPD 3.55±0.57:1.89±0.03g, n=3, p<0.05)の有意な減少、血糖値(CD:LPD 97.3±15.1:71.3±11.1mg/dl, n=3, p<0.05)・HbA1C値(CD:LPD 4.72±0.62:3.52±0.06%, n=3, p<0.05)・IRI値(CD:LPD 6.70±0.58:3.34±0.89ng/ml, n=3, p<0.01)の有意な低下、またITT(area の改善を認めた。CHO値は、CD群と比較して、LPD群で有意な低下を認めたが、TG値は両群間で差はなかった。さらにLPD群は、CD群と比較してUALBの有意な低下(CD:LPD 1206±482.6:145.42±48.47 mg/gCr, n=3, p<0.001)と腎組織の改善を認めた。なお、血圧に差はなかった。以上より、高度たんぱく質制限は、2型糖尿病ラットにおける糖・脂質代謝の改善と腎保護効果を示すことを見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
まず、今年度は、当初の計画にしたがい、Wistar fatty ラットの糖尿病腎症に対する、6週齢から28週にわたる高度たんぱく質制限が腎保護効果(アルブミン尿の減少・腎組織の改善)を発揮することを示すことができた。したがって、次年度は、これらの結果を発展させ、たんぱく質制限の腎保護効果の機序をオートファジーの調節機構の観点から解明することにつなげることができる。
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Strategy for Future Research Activity |
研究実績の概要に示した結果は、n=3であるため、現在サンプル数を増やして実験を遂行している。また、糖尿病腎症のどの時期からのたんぱく質制限食の介入が腎保護効果を発揮するかどうかを検証すべく、前述のような6週齢からのたんぱく質制限に加え、12週齢および、24週齢からのたんぱく質制限食を開始する群を作成し、現在観察中である。さらに、たんぱく質制限による腎保護効果の機序としてのオートファジーの活性化の関与に関しては、腎尿細管における栄養感受性シグナルの変異に着目し、オートファジーの調節に重要な役割を果たすSirtuin、AMPKあるいは、mTOR経路について腎サンプル(蛋白・mRNA)を用いて、ウエスタンブロット、RT-PCR法により検証する。また、電子顕微鏡下においても、形態的にオートファジーの変異について検証する予定である。 たんぱく質制限食は、2型糖尿病ラットにおいて、糖・脂質代謝を改善することを見出したが、その機序に関して、インスリン分泌能・膵β細胞、骨格筋におけるたんぱく質制限によるミトコンドリア機能・形態の変化を含むインスリン抵抗性に与える影響について検証する予定である。さらに、以上の実験を10%たんぱく質含有の飼料においても試行し、たんぱく質
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本研究を引き続き遂行するために以下に示す研究費の使用計画を立案している。各群の動物飼育費用、治療用の飼料費(たんぱく質制限食、コントロール食)、腎組織染色関連物品費、腎臓・骨格筋・膵における電子顕微鏡用サンプル作成関連物品費、栄養感受性シグナルを検証するための抗体・ウエスタンブロット用物品費、RT-PCR関連物品費、ラットの血液検査(糖・脂質関連)・尿検査(アルブミン尿、尿細管障害マーカー)のためのELISAキット購入費.
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