2014 Fiscal Year Annual Research Report
高度たんぱく質制限の尿細管オートファジー活性化を介した糖尿病腎症抑制機序の解明
Project/Area Number |
24591218
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Research Institution | Kanazawa Medical University |
Principal Investigator |
北田 宗弘 金沢医科大学, 医学部, 准教授 (40434469)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古家 大祐 金沢医科大学, 医学部, 教授 (70242980)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 糖尿病腎症 / たんぱく質制限 / オートファジー / ミトコンドリア / 尿細管 / 炎症 |
Outline of Annual Research Achievements |
2型糖尿病腎症の進展抑制に対する高度たんぱく質制限の効果とその機序を解明するため、Wistar fatty (fa/fa)ラット(24週齢雄)とその対照を通常食(STD)(たんぱく質22%)群と低たんぱく質食(LPD) (たんぱく質5%)群に分別し20週間飼育した。体重・血糖値・血圧を4週ごとに、20週後に以下を評価した。HbA1C・インスリン(IRI)・インスリン耐容能試験(ITT)・糖負荷試験(GTT)、脂質(総コレステロール(CHO)・中性脂肪(TG)・遊離脂肪酸(FFA))・シスタチンC(cysC)・尿アルブミン(UAlb)・尿L-FABP(ULFAB)・腎重量・腎組織(PAS、マッソントリクローム染色、Kim1免疫染色による線維化と尿細管障害)・炎症(CD68免疫染色、CD68,IL6,TNF-a,TLR2,MCP1mRNA発現(RT-PCR))・電子顕微鏡によるミトコンドリア形態観察・アポトーシス(cleaved caspase3ウエスタンブロット)・オートファジー(p62・p-S6RP免疫染色)。 糖尿病ラット(DM)-STD群と比べLPD群では体重・腎重量は有意に減少、血圧に差はなく、DM-STD群に比べLPD群にてHbA1C、CHOは有意に低下したが、ITT、GTT、IRI、TG、FFAは両群間で差はなかった。LPD群ではDM-STD群と比べUAlb(STD:LPD 12172.8±8557.3:921.4±904.8μg/gCr, n=7-8, p<0.001)・ULFAB(STD:LPD 135.4±183.0:6.44±7.58μg/gCr, n=7-8, p<0.05)・cysC(STD:LPD 1.73±0.43:1.01±0.43mg/l, n=7-8, p<0.05)は有意に低下した。DM-STD群における糸球体と尿細管間質の線維化・尿細管障害、炎症、ミトコンドリア断片化・膨化、アポトーシスはLPD群で改善した。DM-STD群では、p62・p-S6RP免疫染色強度は増強したが、LPD群にて改善した。以上より、2型糖尿病ラットの尿細管では、mTORの活性化を介したオートファジー機構の低下に起因するミトコンドリア障害・酸化ストレス・炎症が生じており、たんぱく質制限は、mTORの低下とオートファジー機構の回復により腎障害を改善する可能性が示唆された。
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