2014 Fiscal Year Annual Research Report
神経型アセチルコリン受容体を標的とした自己免疫性神経疾患
Project/Area Number |
24591253
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
吉川 弘明 金沢大学, 保健管理センター, 教授 (10272981)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
横山 茂 金沢大学, 子どものこころの発達研究センター, 特任教授 (00210633)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | アセチルコリン受容体 / 重症筋無力症 / 自律神経 / 自己抗体 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、原因不明の神経症状を呈する患者から、中枢神経系のニューロトランスミッター受容体に対する自己抗体が検出されることが報告され、新たな神経疾患群として注目を集めている。我々は受容体の中でも神経型アセチルコリン受容体(neuronal acetylcholine receptor, nAChR)に注目した。高度の自律神経機能障害を持つ患者の中には、nAChRα3サブユニットに対して自己抗体を持つ患者が存在することが報告されている。我々は、cDNAライブラリーからクローニングしたnAChRα3サブユニットおよびβ4サブユニットの過剰発現系細胞(COS-7とHEK293-α3β4 cell)を用い、これらの細胞に及ぼす患者血清ならびにモノクローナル抗体の影響を調べた。その結果、悪性腫瘍を合併した末梢神経障害患者(傍腫瘍症候群)の患者血清を培養細胞に添加すると、細胞表面上に発現していた神経型アセチルコリン受容体(α3β4)が患者血清とともに、細胞質内に取り込まれることがわかった。また、抗神経型α3アセチルコリン受容体抗体(モノクローナル抗体)は、α3β4過剰発現細胞(HEK293-α3β4 cell)のα3サブユニット発現量を減少させ、その結果、ニコチン添加による細胞内Ca2+濃度の上昇を抑えることがわかった。一方、低温下(4℃)で処理すると、細胞表面上のα3サブユニット数の減少はおこらないことより、神経型アセチルコリン受容体(α3サブユニット)の抗体結合による減少は、エンドサイトーシスによる変化であることが示された。以上の結果から、神経型アセチルコリン受容体抗体は神経細胞の機能障害をもたらし、結果として神経疾患の発症に関与することが示唆された。
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Research Products
(6 results)