2013 Fiscal Year Research-status Report
遺伝性プリオン病の診断法の確立と新規分類・解析法の開発
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24591268
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
佐藤 克也 長崎大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (70398147)
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Keywords | プリオン病 / 遺伝性 / 髄液 |
Research Abstract |
プリオン病は近年、MRI拡散強調画像による診断法の急速な進歩、髄液生化学マーカー診断法の開発が行われ、診断法は急速な進歩を遂げている。しかしながら今までの生化学マーカーは、急速な神経細胞変性などを反映するために、異常プリオン蛋白(PrPSc)の存在を直接証明する方法しか確定診断として認めていない。依然として病理診断のみが確定診断と認知されている。従って、治療を視野に入れた生前確定診断法は、侵襲の大きい脳生検しかない。今回、我々はPrPScのin vitro増幅法(Real-time (RT)-QUIC法)を開発し、少数例ではあるが、PrPScの試験管内増幅に成功し、国内外で高く評価されている。このRT-QUIC法を用いた国内外遺伝性プリオン病の検体を用い、従来から種々の生化学的マーカーを比較検討し、遺伝性プリオン病の診断法の確立を目指す。さらに遺伝性プリオン病に関する新たな分類・解析を目指す。 1)髄液の生化学診断の全症例検討:本邦CJDサーベイランス委員会によって集積された検体を用いたプリオン病の診断法としての標準化14-3-3蛋白、タウ蛋白測定による髄液診断法の国内標準を確立させる。 2)RT-QUIC法の確立:我々の開発したin vitro PrPSc増幅法を用いて確定診断法の確立を行う。多数の髄液検体を解析し、感度・特異度を決定すると共に、髄液中PrPScの濃度をRT-QUIC法により定量化し、その値とプリオン病の進行度の関連についても検討する。 3)遺伝性プリオン病に関する新たな分類・解析:日本における遺伝性プリオン病に対する治療の前提にたつと経時的な臨床経過・症状・髄液検査を知ることは極めて重要である。又V180I変異の10例での検討ではRT-QUIC法陽性群と陰性群では明らかに臨床経過と髄液検査では2群間では異なる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成24年度・平成25年度の目標であったタウ蛋白14-3-3-蛋白測定のELISA法の作成・確立と診断法のデータの標準化は 1) タウ蛋白14-3-3-蛋白測定のELISA法の作成・確立:初年度は髄液中の14-3-3-蛋白のアッセイとして抗14-3-3抗体を4種類作成した。昨年度よりELISA系の開発を行っている。ウエスタンブロット法とELISA法との比較検討を行う。本年度ELISA系の開発に成功し、多数例での検討に入った。他施設での検討を行ってもらった。 2) 髄液のタウ蛋白・14-3-3蛋白測定による診断法確立のためのデータ標準化:標準化できた測定法を用いて、プリオン病の病型ごとの標準値を明らかにする。孤発性CJD、家族性CJD、硬膜移植後CJDに分類しそれぞれの病型での標準値を決定する。現在国際的な標準化に向け、他の国々との間にて標準化を始めた。 3)プリオン病患者の髄液中の異常プリオン蛋白の半定量:RT-QUICをさらに利用し、髄液中のPrPScの半定量の試みを開始している。ヒト脳の異常プリオン蛋白の半定量化したサンプルを髄液と同時にアッセイをし、ある程度の定量に成功している。又希釈し、SD50の測定も成功している。これをend-pointアッセイ法として確立する。さらに髄液での有用性を検討する。 4)現在まで遺伝子プリオン病に関する情報は約100症例程度あり、すでに詳細な患者情報・遺伝子検査の情報はもっているが、再度サブ解析を行う。さらに髄液検査データに基づき今まででのデータを解析する。一方でその解析に基づく遺伝子サテライト領域及び連鎖解析を行う。もしも可能であれば今まで報告されている遺伝子改変ノックインマウスの解析を同時に行う。現状はヒトプリオン病の遺伝子改変すべてのヒト型のノックインマウスを作成し、有効性を証明している。予定より繁殖に時間がかかり、予定より1年程度この分は遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
1) 現在プリオン病患者の髄液中の異常プリオン蛋白の半定量は約50症例から100症例に程度進行している。現在投稿している。 2) 遺伝子改変ノックインマウスの作成中である。 3) ヒトプリオン病の遺伝子変異を入れた遺伝子改変ノックインマウスを各ライン作成中である。 4) V180Iでの検討では孤発性プリオン病とかなり異なっていることがわかってきた。さらにV180Iは他の遺伝子変異とは異なる側面があり、髄液のサイトカインや病理所見では異常プリオンに対し抑制的働いている印象があり、今後の治療戦略に新たな側面が認められた。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度遺伝子改変動物の実験が6か月程度遅れている。さらに遺伝子改変動物の作成のために準備に時間がかかっている。 遺伝子改変動物の実験に利用する。 さらにQUIC法の試薬として利用する予定である。
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Research Products
(8 results)
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[Journal Article] Relationships between clinicopathological features and cerebrospinal fluid biomarkers in Japanese patients with genetic prion diseases.2013
Author(s)
Higuma M, Sanjo N, Satoh K, Shiga Y, Sakai K, Nozaki I, Hamaguchi T, Nakamura Y, Kitamoto T, Shirabe S, Murayama S, Yamada M, Tateishi J, Mizusawa H.
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Journal Title
PLoS One
Volume: 8(3)
Pages: e60003
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] FK506 reduces abnormal prion protein through the activation of autolysosomal degradation and prolongs survival in prion-infected mice.2013
Author(s)
Nakagaki T, Satoh K, Ishibashi D, Fuse T, Sano K, Kamatari YO, Kuwata K, Shigematsu K, Iwamaru Y, Takenouchi T, Kitani H, Nishida N, Atarashi R.
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Journal Title
Autophagy
Volume: 9(9)
Pages: 1386-1394
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Efficacy of prosultiamine treatment in patients with human T lymphotropic virus type I-associated myelopathy/tropical spastic paraparesis: results from an open-label clinical trial.2013
Author(s)
Nakamura T, Matsuo T, Fukuda T, Yamato S, Yamaguchi K, Kinoshita I, Matsuzaki T, Nishiura Y, Nagasato K, Narita-Masuda T, Nakamura H, Satoh K, Sasaki H, Sakai H, Kawakami A
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Journal Title
BMC Med
Volume: 11
Pages: 182
DOI
Peer Reviewed
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