2013 Fiscal Year Research-status Report
変異GFAP遺伝子導入アレキサンダー病疾患モデルに対する薬剤効果研究
Project/Area Number |
24591273
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
吉田 誠克 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (90457987)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
水田 依久子 京都府立医科大学, 医学部附属病院, 研究員 (80397760)
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Keywords | 神経内科学 / 分子遺伝学 |
Research Abstract |
アレキサンダー病はアストロサイト細胞質に認められるglial fibrillary acidic protein (GFAP)を主成分とする凝集体蓄積を病理学的特徴とする稀な難治性神経変性疾患で、約90%の症例でGFAP遺伝子の変異を認める。しかし、詳細な病態は不明であり、治療法もない。本研究では疾患モデルを用いて変異GFAPがアストロサイトの機能およびグリア-ニューロン相互作用にもたらす影響を解明し、治療法を開発することを目的としている。これまでわれわれGFAP-GFPを導入したアストロサイトーマ由来の細胞を用いて病態解明、治療法の開発を進める予定であったが、GFPタグの分子量が大きく、適切に病態を評価できない可能性が高いと判断し、平成25年度はGFAPとGFPを別々に発現するベクターを導入し、新たな細胞モデルの作成を試みた。具体的にはpTracer CMVベクターにヒトGFAP遺伝子を導入(野生型と最も頻度の高いR239C変異型)、アストロサイトーマ由来細胞にトランスフェクションし、抗菌薬(zeocin)を使用して安定発現系を作成した。野生型では蛍光発色を維持するコロニーを4株得て、うち3株でベクター内の遺伝子導入を確認し、今後解析に用いる予定である。変異型に関しても蛍光発色を維持する株を数個得ており、今後遺伝子導入を確認の上、解析に用いる予定である。解析はDNAチップ解析にて発現遺伝子の網羅的解析を行い、病態との関連が示唆される候補がみつかれば、薬剤スクリーニングまで検討する。また、すでに病理学的に示唆されているGFAPの発現量やシャペロン系の変動については既存の薬剤(GFAP凝集抑制効果のあるセフトリアキソンやアストロサイト保護効果が報告されている漢方など)を用いて解析を検討する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
すでに作成した細胞モデル(ヒトGFAP-GFP遺伝子を導入したアストロサイトーマ由来細胞株)を病態解明、治療法検討のために用いる予定であったが、病態をより正確に評価するために細胞モデルを再作成したため、当初の研究計画よりも遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
安定発現系細胞モデルを確立したのちに、DNAチップ解析にて発現遺伝子の網羅的解析を行う。ただ、最近のアストロサイトの知見から、ニューロンや他のグリア細胞との相互作用を検討するには動物モデルの使用も検討する必要がある。平成26年度より他研究機関と協力して、研究協力者として大学院生を同施設に派遣し、アレキサンダー病モデルマウスを用いた解析を同時並行ですすめ、当初の目的である薬剤効果の影響に関する研究まで推進する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初の計画ではモデル細胞に対するDNAチップ解析やリアルタイムPCRに対する試薬などに使用を予定していたが、モデル細胞の再作成のため使用されなかったことなど、物品費が予定額より下回ったため。 モデル細胞の解析に対する物品の購入のために使用が予定されている。また、モデル動物の解析に対する研究打ち合わせや成果発表や研究に関する情報収集のための旅費の使用を予定している。
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