2014 Fiscal Year Annual Research Report
甲状腺自己免疫の研究:マウスにおける抗TSH受容体免疫反応と免疫寛容
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24591368
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
永山 雄二 長崎大学, 原爆後障害医療研究所, 教授 (30274632)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | バセドウ病 / マウスモデル / TSH受容体 |
Outline of Annual Research Achievements |
①胸腺移植による免疫系の再構築実験で、腎被膜下への移植では約半年後に末梢血中にリンパ球の出現が見られたが、ポジティブコントロールであるはずのヒトTSH受容体免疫で反応が認められなかったため、移植部位を変更して、腹腔内リンパ節への移植を試みた。これにより、免疫系の再構築に成功した。しかし、腎被膜下との結果の差の機序は不明のままである。 この実験系を用いて、TSH受容体ノックアウトマウス胸腺の野生型マウスへの移植、さらには野生型マウスの胸腺のTSH受容体ノックアウトマウスへの移植により、正常胸腺によるTSH受容体自己反応性Tリンパ球のネガティブセレクションがTSH受容体への強力な免疫耐性に重要であることが明らかとなった。以前の末梢性免疫耐性実験で弱い末梢性耐性しか同定できなかったことと考え合させて、TSH受容体に対する免疫耐性は中枢性がより重要であることが示されたことになる。ヒトにおけるTSH受容体遺伝子の多型と胸腺における発現量、バセドウ病の発生頻度のデータを支持する研究成果である。
②マウスTSH受容体で免疫したTSH受容体ノックアウトマウスの脾細胞へヌードマウスへの養子免疫では、バセドウ病は誘導できたが、持続せず、刺激型抗体優位から阻害型抗体優位へ移行し、甲状腺機能低下症となった。それぞれの抗体を産生するリンパ球の寿命の違いによると考えられ、養子免疫後、間欠的にマウスTSHT受容体発現アデノウイルスで免疫して、抗原に暴露し続けることで、刺激型抗体産生リンパ球が維持され、甲状腺機能亢進症が持続することが明らかとなった。
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