2013 Fiscal Year Research-status Report
悪性リンパ腫の病態にかかわるエピジェネティクス異常の解析
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24591388
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
冨田 章裕 名古屋大学, 医学部附属病院, 講師 (80378215)
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Keywords | 悪性リンパ腫 / エピゲノム / 遺伝子変異 / ヒストン修飾 |
Research Abstract |
B細胞性リンパ腫(BCL)におけるゲノム・エピゲノム異常を検討するため、BCL患者より得られた生検検体からのゲノム及び蛋白の抽出を行い、症例数を蓄積している。また、末梢血遊離DNA(PB-cfDNA)については、その性状に関する詳細な解析を行い、BCLにおける変異解析、網羅的遺伝子変異解析への応用が可能かどうかについて検討している。BCL(n=28)における解析では、PB-cfDNA濃度は、LDH値、CRP値、B症状の有無と有意に相関することが確認されたが(いずれもp<0.0001)、臨床病期、骨髄浸潤、白血球数との有意な相関は確認されなかった。DLBCL 1症例において、リンパ節生検で得られた腫瘍細胞よりゲノムDNAを抽出し、網羅的遺伝子解析(全エクソンシークエンス)を施行した。変異の認められたTNFAIP3, BCL10, IRF7などの遺伝子について、同一症例から得られたPB-cfDNAを用いてSanger sequenceを行ったところ、同一の変異が検出された。このことから、DLBCLにおける遺伝子変異解析において、PB-cfDNAが利用可能である可能性が示唆された。現在PB-cfDNAを用いたエクソーム解析を施行中であり、リンパ節病変に認められたと同様の変異が網羅的手法によって検出可能であるかどうかについて検討を行っている。また、この検討における最適なDNA抽出方法や解析に用いる濃度など、至適条件を検討している。また、経時的に採取されたPB-cfDNAを用いた遺伝子変異解析によって、微小残存病変、病勢進行、クローン性増殖などを効率よく検出できるかどうかについても解析を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
リンパ腫臨床検体を用いた遺伝子変異解析については、京都大学の小川誠司教授との共同研究を開始し、これまでの当研究室で行っているSanger sequence法、pyrosequence法に加えて全エクソーム解析を含めた網羅的解析に発展している。また、PB-cfDNAの性状についての解析が進み、網羅的解析にも利用可能であることが概ねわかってきた。これらの状況から、ゲノム遺伝子を用いた遺伝子解析の方法論については順調に進行していると判断される。一方、ヒストンメチル化状態やヒストン修飾酵素の構造異常などの解析のために、悪性リンパ腫腫瘍組織から直接タンパク質を抽出し集積させる必要があるが、検体集積のスピードが上がらず、解析が滞っている部分がある。これについては、蛋白解析についての十分となる様な検体採取を臨床現場においても徹底することで、更なる検体数の集積を目指したいと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
現在までの遺伝子変異解析方法である、Sanger sequence法、Pyrosequence法はこれまで通り当研究施設で進める予定であり、網羅的解析法については、共同研究を通して更に症例数を増やして解析を進める。PB-cfDNAを用いた解析については、網羅的解析に最適な条件が確立されておらず、今後他施設とも共同し、更に質の良い解析が可能となる方法論の確立を目指す。また病型や、病勢進行、薬剤耐性などの臨床的に特徴を持つ症例における遺伝子変異との関連性について臨床情報からの検討も行い、薬剤耐性との関連が示唆される場合には、in vitroにおける抗がん剤やヒストン修飾因子阻害剤などの標的薬を用いた薬剤感受性試験を行う。また、臨床現場との連絡を更に緊密に取ることにより、検体集積のスピードアップに努める。PB-cfDNAは、経時的サンプルの採取を可能とする方法論であり、その有用性を確認しながら症例数を増やしていく予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年12月に米国血液学会参加予定にて旅費を申請していたが、諸事情により参加出来なくなったため。また、平成25年10月に札幌で開催された第75回日本血液学会参加のための旅費を申請していたが、コーポレートセミナー依頼者により旅費が支出されたため。 平成26年度に開催される日本網内系学会(山形)、国際血液学会(北京)参加旅費として使用予定。
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[Journal Article] De novo diffuse large B-cell lymphoma with a CD20 immunohistochemistry-positive and flow cytometry-negative phenotype: Molecular mechanisms and correlation with rituximab sensitivity.2014
Author(s)
Tokunaga T, Tomita A, Sugimoto K, Shimada K, Iriyama C, Hirose T, Shirahata-Adachi M, Suzuki Y, Mizuno H, Kiyoi H, Asano N, Nakamura S, Kinoshita T, Naoe T.
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Journal Title
Cancer Sci.
Volume: 105
Pages: 35-43
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Epstein-Barr virus-positive cytotoxic T-cell lymphoma followed by chronic active Epstein-Barr virus infection-associated T/NK-cell lymphoproliferative disorder: a case report.2013
Author(s)
Kato S, Miyata T, Takata K, Shimada S, Ito Y, Tomita A, Elsayed AA, Takahashi E, Asano N, Kinoshita T, Kimura H, Nakamura S.
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Journal Title
Hum Pathol.
Volume: 44
Pages: 2849-2852
DOI
Peer Reviewed
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