2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24591429
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
花園 豊 自治医科大学, 医学部, 教授 (70251246)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 造血幹細胞移植 / 出生前治療 / 先天性免疫不全症 / 大型動物 / ヒツジ / 子宮内移植 |
Outline of Annual Research Achievements |
欧米の臨床において、伴性劣性重症複合型免疫不全症(X-SCID)に対する胎児造血幹細胞移植が成功を収めた。しかし、X-SCIDと異なり移植細胞に増殖優位性のないような他の疾患では、移植後の生着効率(ドナー由来造血キメラ率)が低く、十分な治療効果が得られない。この問題に対し、本研究では大型動物(主にヒツジ)の子宮内移植系(胎仔への移植系)を用いて、移植後の造血細胞の生着効率を向上できないか検討を行った。 (1)移植前処置:成人の骨髄移植で行われている移植前処置を、ヒツジ子宮内移植系に応用した。すなわち、化学療法剤ブスルファンを移植前のヒツジ胎仔に投与し、ヒツジ体内におけるヒト造血細胞の生着スペースの拡張を試みた。その結果、ヒツジ骨髄内のヒト造血細胞の比率ならびに造血キメラヒツジの出現率を有意に向上させることができた。 (2)グラフトへの処置:造血幹細胞の自己複製遺伝子HoxB4をヒト造血幹細胞(CD34細胞)に一過性強制発現させることで、グラフトの増殖力の強化を試みた。その結果、ヒツジ骨髄内でのヒト造血細胞の比率を約5倍に上昇させることができた。 (3)移植後処置:ヒトやサルの造血細胞に増殖効果を及ぼす(ヒツジに交叉しない)ヒト幹細胞因子(SCF)を、サル造血細胞を生着したヒツジに投与することで、ヒツジ体内におけるサル造血細胞の選択的増幅を試みた。その結果、ヒツジ骨髄中のサル造血細胞の比率を最大で約12倍に上昇させることができた。 上述の3つの方法は、いずれも異なる作用機序を有するため、組み合わせて用いれば相乗効果が期待できる。
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Research Products
(3 results)