2012 Fiscal Year Research-status Report
アレルギー性疾患における制御性T細胞の機能異常の分子機構
Project/Area Number |
24591471
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
根来 孝治 昭和大学, 薬学部, 講師 (70218270)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中野 泰子 昭和大学, 薬学部, 教授 (20155790)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 制御性T細胞 / アレルギー疾患 / カルシウムイオン / 免疫抑制 / RACK1 / CRACチャネル / 国際情報交換 / イギリス:スペイン:アメリカ |
Research Abstract |
制御性T細胞(Treg)の機能異常は、アレルギー疾患や自己免疫性疾患で報告されているが、Tregの機能にかかわる細胞内シグナルの詳細はいまだ明確にはなっていない。Tregの特徴は、その主たる免疫抑制能力とそれ自体のアナジー状態にある。機能異常の認められる細胞は、アナジー状態の破綻(Ca応答性)と免疫抑制能の低下が認められる。この2つの特性は連動しており、Ca応答性のメカニズムを解析すれば、免疫抑制能低下の一要因が解明できると考えている。本研究の主目的は、TregのT細胞受容体(TCR)刺激に応じたCa応答性の機構を解明することにある。TregにおいてCa応答性は、ORAI1やSTIM1からなるCa release-activated Ca (CRAC)チャネルが重要な役割をしているが、他のT細胞と異なりTCR刺激に対してCa低応答性を示す。しかし、喘息患者由来Tregでは、Ca応答性を示すように変化している。この機能変化は、Receptor for activated C kinase 1 (RACK1)タンパク質の発現増加によることを証明している。Prof. Hamm HEより供与していただいたGST-tagged RACK1発現ベクターを健常人TregモデルJurkat細胞にトランスフェクションしたところ、細胞の形態変化を観察した。現在、同条件にて細胞内のシグナル解析、mRNA発現解析等を行っている。この解析により、RACK1たんぱく質によるTregのCa応答性制御機構を推定できると考えている。また、平成24年度は、喘息TregモデルJurkat細胞株のマイクロアレイを行う予定であったが、現在、細胞培養等の条件を詳細に解析し、平成25年度に東レ3Dジーンマイクロアレイ解析を行うための準備を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
喘息TregモデルJurkat細胞の培養密度等により、FOXP3タンパク質の発現量が大きく変化し、その原因の一つに細胞内のプロテアソームが関与している可能性が示唆された。そのため、細胞ライセートの取り扱いやプロテアソーム阻害剤の使用等、様々な条件検討を行ったため、十分なFOXP3発現量を有する喘息TregモデルJurkat細胞を得るのに時間がかかった。そのため本年度に行う予定であったマイクロアレイ解析は、次年度に持ち越した。しかし、以上のことより、FOXP3が修飾を受けることによりプロテアソームで処理されやすくなることが判明した。新たなFOXP3たんぱく質の制御機構の一部である可能性が推測され、今後、さらなる解析を行う予定である。 喘息患者炎症局所では、TNF-alphaなどの炎症性サイトカインの産生が亢進していることより、これらの炎症性サイトカインがTreg細胞の機能に影響を与える可能性は高い。そこでTNF-alphaを健常人TregモデルJurkat細胞に添加し、FOXP3遺伝子により発現制御を受けている遺伝子に焦点を当て、その影響を検討した。その結果、当初より予測していた細胞内Ca濃度上昇に依存し転写が亢進するNuclear factor, IL-3 regulated (NFIL3) の発現上昇が認められた。また、RACK1分子の増加傾向も観察されたが、優位な増加ではなかった。今後はTNF-alphaの濃度依存性や他の炎症性サイトカインとの組み合わせ刺激等も検討し、上述したタンパク質への影響を中心に検討を行う。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の予定に少し変更を余儀なくされたが、次年度以降に順次予定の計画を推進する。平成25年度は、健常人TregモデルJurkat細胞や喘息TregモデルJurkat細胞のマイクロアレイ解析を行う。この解析により、RACK1やNFIL-3等を中心としたCa応答性関連タンパク質の変動を検討する。優位な変動が認められたタンパク質に関しては、さらに細胞生物学的な意味づけを検討し、real-time PCRによる確認定量及びタンパク質量の定量を行う。実際にどのような刺激に応じて喘息患者由来Treg細胞のように変化するのかを炎症性サイトカイン刺激に対する応答を中心に解析する。更に、RACK1プロモーターレポーターを構築し、これらの刺激に応じた反応性を検討する。このレポーターベクターの構築も本年度の予定であったが、上述したように細胞条件の再検討が必要であったため予定を変更し、次年度以降に行う予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度は、24年度に行う予定であった喘息TregモデルJurkat細胞に対するマイクロアレイ解析を行う。そのため、次年度使用額としの本年度予算の一部を計上し、次年度使用予定である。その後、マイクロアレイ解析により判明するCa応答性関連タンパク質の解析を行う。足場タンパク質であるRACK1とともにCa応答性を制御している可能性のあるタンパク質の挙動を解析する。
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Research Products
(7 results)