2013 Fiscal Year Research-status Report
アレルギー性疾患における制御性T細胞の機能異常の分子機構
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24591471
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
根来 孝治 昭和大学, 薬学部, 講師 (70218270)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中野 泰子 昭和大学, 薬学部, 教授 (20155790)
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Keywords | 制御性T細胞 / アレルギー疾患 / カルシウムチャネル / RACK1 / 国際情報交換 / イギリス:スペイン |
Research Abstract |
制御性T細胞(Treg)は、アレルギー疾患においては、その特徴である免疫反応抑制能力やアナジー状態に異常が認められる。アナジー状態は、カルシウム依存的であり、正常な機能を有するTregは、T細胞受容体を介した刺激を加えても細胞外から細胞内へカルシウムは流入しない。しかし、一部のアレルギー患者では、このアナジー状態に異常が認められ、刺激に対しカルシウム流入が観察される。また、カルシウム流入が認められるTregは、増殖能が亢進し抑制活性も低下する。このような観点から、Tregのカルシウム応答性を解析することによりその機能を推測することが可能ではないかと考え研究を進めている。本年度は、喘息TregモデルJurka細胞株の東レ3Dジーンマイクロアレイ解析を行った。対照細胞(5G1)に比べカルシウム流入に関連する遺伝子群(Orai1, STIM1等)の発現には変化が認められなかった。ただし、小胞体上にあるカルシウムチャネルの一つであるイノシトール3リン酸受容体パラログであるITPR3の発現が、健常人TregモデルJurkat細胞株で発現が他の細胞群(5G1細胞、喘息Tregモデル細胞)に比べ高かった。ITP3Rは、小胞体から細胞質へカルシウムを放出するチャネルであり、Tregの細胞外からのカルシウム流入にも関与している可能性が示唆された。これまでの研究で、T細胞のカルシウム流入を制御していると推測しているRACK1は、従来の結果と一致し喘息Tregモデル細胞で発現が亢進していた。カルシウム流入関連分子以外では、喘息Tregモデル細胞で、DOPA decarboxylaseの発現が亢進し、CD71抗原が低下していた。これらの新たな知見に関し、Tregの機能における関連を検討する予定である。また、現在、マイクロアレイデータをさらに解析しているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
昨年度より、喘息TregモデルJurkat細胞のコンディショニングに手間取り、遅れているが、マイクロアレイ解析は本年度行うことができた。現在、アレイの結果の解析を行っている最中である。新たな指標になりそうな分子も検出されている。ヒト末梢血より得られるTreg細胞とは異なり、様々な環境による影響を受けていないモデル細胞株であるため、転写因子であるFOXP3の機能に依存した結果を反映するものと考えている。また、現在、RACK1の発現ベクターも準備ができており、高発現させることよるカルシウム流入に対する影響も解析中である。
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Strategy for Future Research Activity |
RACK1レポーターベクターは、既に入手しており、平成26年度に解析する。これにより、どのような因子(炎症性サイトカインなど)がRACK1発現亢進に関与しているか推測することができる。また、RACK1がどのようにTreg細胞の細胞外からのカルシウム流入を制御するかを検討するために、RACK1と共沈するたんぱく質の同定も行う予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度までに終了予定であった、RACK1レポーターベクターによる解析やRACK1との共沈するたんぱく質の同定が遅れているため、予算を次年度に持ち越した。 次年度使用額を利用し、RACK1レポーター解析とRACK1との共沈タンパク質を同定する予定である。
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