2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24591524
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Dokkyo Medical University |
Principal Investigator |
坂爪 悟 獨協医科大学, 医学部, 講師 (70306174)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久保田 健夫 山梨大学, 医学工学総合研究部, 教授 (70293511)
永井 敏郎 獨協医科大学, 医学部, 教授 (90296129)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 染色体 / 転座 / メカニズム / 発達 / 成長 |
Research Abstract |
【研究目的】「受精後の染色体異常の発生」を証明することである.染色体異常には,数的異常と転座(構造異常)がある.いずれも,卵子・精子の形成過程(受精前)に生ずると考えられてきた.数的異常には,ダウン症候群(21トリソミー),ターナー症候群(XO)等があり,卵子形成過程で染色体の不分離が原因とである.転座には,精子形成過程での新生突然変異として生ずる,染色体量に過不足が生じる場合は流産や奇形発生の原因となる.背景から,染色体異常は,従来,受精前に発生するものと考えられてきた.今回の研究は,我々の分析により転座が受精後に生じたと示唆される症例を見いだした.患者の派生(異常)染色体は,受精後に父母由来の染色体が融合したことを証明する 【研究の学術的背景】 染色体異常には,大別して数的異常と転座(2種の異なる染色体の融合)がある.これらはいずれも,精子や卵子の形成過程(受精前)に生ずるものと考えられてきた.このうち,数的異常には,ダウン症候群(21トリソミー),ターナー症候群(XO)やクラインフェルター症(XXY)があり,主に卵子形成過程での染色体の不分離が原因と考えられている(図1).一方転座には,親から子へ伝えられる場合と,主に精子形成過程での新生突然変異として生ずる場合がある.この場合,染色体量に過不足のない転座保因者(図2)は無症状だが,染色体量に過不足が生じる不均衡転座は流産や種々の奇形発生の原因となる.このような背景から,染色体異常は,従来,受精前に発生するものと考えられてきた. 今回の研究テーマの発端は,我々の分析により転座が受精後に生じたと示唆される症例を見いだしたことだ.つまり,患者の派生(異常)染色体は,父由来の部分と母由来の部分が融合したものと考える(図3).本研究の目的は,以上をふまえ,この仮説「受精後の染色体異常の発生」を種々の方法で確実に証明することである.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初ゲノム解析による派生染色体の転座点の決定を以下の方法で検討する予定であった.すでにSNPsアレイでは検討済みであるが,他CGHアレイなどを今後検討し,PCRプライマーの精度を高め,切断点,結合点部位を明らかにする.しかし,転座染色体領域が反復配列が多くPCR法に不適格であったために,まず,FISH法の確立を目標にして,研究室内でほぼ達成できるようになった.さらに次年度の目標である癒合細胞の作成に取りかかり,派生染色体の単離をはじめている.はじめに作成した患者リンパ芽球(LCL)と齧歯類の線維芽細胞で融合細胞を作成する.融合細胞作成過程でランダムに染色体の脱落が生じる.細胞融合および薬剤耐性遺伝子による選択で,細胞クローンを多数得る.スクリーニング法はSTR多型を用い,父由来15番染色体多型と母由来X染色体多型のアリルを有するクローンを選択する段階まで到達した.
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Strategy for Future Research Activity |
癒合細胞のスクリーニングを行い,派生染色体を判別可能な細胞株を抽出・選別する.多型PCR,FISH法を駆使し細胞の選定と,派生染色体の由来が詳細に選別決定可能である.おもにクローン作成に3ヶ月,その後の判定に6ヶ月程度の時期を要すると考えている.派生染色体を単離し,多型解析にて15番染色体が父多型のみであり,かつX染色体由来が母由来のみであれば,派生染色体は両親由来である.つまり,転座が受精卵で生じたこと,受精後早期の体細胞で生じたと考えられる.現段階では多数の細胞核型を調べているが,モザイクは見られておらず,受精卵で生じた転座と考える.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度は培養物品と細胞培養液,FCSの購入費におよそ80万円,PCRを用いた多型解析のプライマー.試薬に60万円程度の予算を計上する.
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