2013 Fiscal Year Research-status Report
胎児早産児の脳白質損傷がその後の髄鞘化に与える影響の解析
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24591597
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
松田 直 東北大学, 大学病院, 准教授 (50361100)
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Keywords | 脳室周囲白質軟化 / 胎児循環 / オリゴデンドログリア / 髄鞘化 / MRI / 電子顕微鏡 / 免疫染色 / ヒツジ |
Research Abstract |
本研究では,胎生期の脳白質損傷では皮質下白質の希突起膠細胞 (OL) 系細胞に過成熟が誘導されるため「OL系前駆細胞が減少すると同時に成熟OL細胞が一過性に増加する」という仮説を検証する.従来の仮説ではOL系の前駆細胞と成熟細胞のいずれもが減少するために髄鞘化が大幅に遅れるとされているからである.本研究ではこれを免疫組織染色,MR画像解析,原子顕微鏡写真の3方向から解析する. H25年度はヒツジ胎仔の慢性実験系で脳白質損傷を誘導した後,脳MRI撮影,脳組織の電顕撮影と免疫染色する実験を8回予定した.しかし,一昨年に引き続き昨夏も記録的な猛暑となったため牧場のヒツジに交配失敗や流産が続出したため,MRI撮影まで進めた症例は7例に留まった.また,限られたヒツジ胎仔数で効率よく実験したため,MRI撮影中の2例はいずれも「炎症+低酸素」負荷ではなく,「人工胎盤+低血圧」負荷を用いて脳白質損傷を誘導した.なお,脳MRI撮影後の灌流固定では電顕観察条件が悪くなるため双胎妊娠を用いることとしたが,上記理由によって双胎妊娠に恵まれなかったため,今年度は電顕観察はできなかった. その冠状断割面の肉眼的所見とMR画像所見に基づいて7例中1例に巣状の脳白質損傷 (PVL) を誘導できたと予想しているが,現在,帯広畜産大学家畜病理学教室における組織学的診断ならびに免疫組織染色の結果を待っているところである.これを踏まえて脳白質病変とMR画像の関連性について検討する予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昨夏の猛暑によって妊娠ヒツジの交配が順調に進まなかったため,双胎妊娠に恵まれず,電子顕微鏡撮影データが予定どおり得られていない.
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Strategy for Future Research Activity |
昨年同様,一回の実験に対して複数の妊娠ヒツジを準備させ,妊娠ヒツジが納品される前に牧場で妊娠鑑定を済ませる.双胎妊娠を用いて一方をMRI撮影に,他方を電子顕微鏡撮影に供する.
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