2012 Fiscal Year Research-status Report
皮膚免疫疾患におけるB細胞抑制性受容体CD22/72の制御機構
Project/Area Number |
24591645
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
濱口 儒人 金沢大学, 大学病院, 講師 (60420329)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | B細胞 / CD22 / CD72 |
Research Abstract |
CD22とCD72はともにB細胞に特異的に発現している表面分子であり、B細胞を抑制する機能を有している。しかし、両者を同時に欠損させた場合のB細胞の機能に及ぼす影響は明らかではない。本研究ではCD22とCD72を同時に欠損させたマウス(CD22-/-CD72-/-マウス)を作成し、CD22とCD72がB細胞機能を抑制する上でどのように関与(協調的あるいは独立的など)しているかを検討することを目的とした。本年度は、①CD22-/-CD72-/-マウスの作成、②CD22-/-CD72-/-マウスの表現型の検討、③CD22-/-CD72-/-マウス由来B細胞の機能解析、の3点について検討した。CD22-/-マウスとCD72-/-マウスを交配してCD22+/-CD72+/-マウスを作成し、さらにCD22+/-CD72+/-マウス同士を交配してCD22-/-CD72-/-マウスを作成した。次に、CD22-/-CD72-/-マウスの表現型を検討した。CD22-/-CD72-/-マウスでは骨髄、末梢血液中における成熟B細胞(B220+IgM+)の数が有意に減少していたが、それぞれの単独欠損マウスでみられる異常を越えるものではなかった。脾臓、末梢リンパ節におけるB細胞数は野生型マウスと変わらなかった。CD22-/-CD72-/-マウス由来B細胞のturnoverについて、BrdU取り込み実験により検討した。CD22-/-CD72-/-マウスでは、CD72-/-マウスに比較し骨髄、末梢血、脾臓におけるB細胞のturnoverは有意に亢進していたが、CD22-/-マウスと比べると有意に低下していた。今年度の検討では、CD22とCD72の両者が欠損してもそれぞれの単独欠損を越える異常は見られず、CD22とCD72は独立してB細胞の機能を制御している可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度に計画していた①CD22-/-CD72-/-マウスの作成、②CD22-/-CD72-/-マウスの表現型の検討、③CD22-/-CD72-/-マウス由来B細胞の機能解析のうち、CD22-/-CD72-/-マウスの作成については目標を達成できた。CD22-/-CD72-/-マウスの表現型の検討についても骨髄、末梢血、脾臓、末梢リンパ節、腹腔内におけるB細胞の割合と細胞数について検討できた。機能解析については、当初予定していたCa2+応答測定、細胞増殖実験は施行できなかったが、B細胞のturnoverについて検討した。したがって、研究の進捗状況についてはおおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度では、Ca2+応答測定、細胞増殖実験、免疫応答について検討する予定であり、当初の計画通りに研究を進める予定である。また、CD22-/-CD72-/-マウスの表現型の検討について、複数の細胞表面分子についてその発現を検討するなど、より詳細な検討を予定している。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度の研究には各種の抗体やサイトカイン、培養試薬等が必要であり、研究費は消耗品に使用する予定である。平成24年度はCD22-/-CD72-/-マウスの作成と表現型の解析に多くの時間を要した。機能解析実験のために購入予定だった各種の抗体やサイトカイン等を平成24年度に購入する必要がなくなり未使用額が生じた。
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