2013 Fiscal Year Research-status Report
皮膚免疫疾患におけるB細胞抑制性受容体CD22/72の制御機構
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24591645
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
濱口 儒人 金沢大学, 医学系, 准教授 (60420329)
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Keywords | B細胞 / CD22 / CD72 |
Research Abstract |
CD22とCD72はB細胞に特異的に発現している表面分子であり、B細胞を抑制的に制御する。しかし、両者を同時に欠損させた場合のB細胞の機能に及ぼす影響は明らかではないため、本研究ではCD22とCD72を同時に欠損させたマウス(CD22-/-/72-/-マウス)を作成し、CD22とCD72がB細胞機能を抑制する上でどのように関与しているかを検討している。本年度は、免疫応答について検討した。免疫応答について、まず血中抗体価について検討した。血清IgM値は、CD22-/-マウスでは野生型マウス、CD72-/-マウスに比べ有意に上昇していたが、CD22-/-/72-/-マウスでは上昇していなかった。一方、血清IgG値は野生型マウス, CD22-/-マウス、CD72-/-マウス、CD22-/-/72-/-マウスで有意差はなかった。次にDNP-FicollとDNP-KLHに対する免疫応答について検討した。DNP-Ficollに対するIgMの免疫応答は、野生型マウスに比べCD22-/-マウス、CD72-/-マウス、CD72-/-/CD22-/-マウスでは有意に減弱していた。さらに、CD22-/-マウス、CD72-/-/CD22-/-マウスではCD72-/-マウスより有意に減弱していた。IgGの免疫応答に有意差はなかった。一方、DNP-KLHに対する免疫応答は、IgM、IgGとも各マウス間で有意差はなかった。今年度の検討でも、CD22とCD72の両者が欠損してもそれぞれの単独欠損を越える異常は見られなかった。したがって、CD22とCD72は独立してB細胞の機能を制御している可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度に計画していた免疫応答についての検討について、血中抗体価の測定と各種の抗原刺激に対する免疫応答について検討できた。前年度に実施できなかった機能解析の1つであるCa2+応答測定については今年度も実施でなかったが、全体としては研究の進捗状況についてはおおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度では、CD22とCD72の両者が欠損するとより自己免疫疾患を発症しやすくなるのかについて、血中の自己抗体価測定、腎炎の評価を行うことにより検討する予定である。また、機能解析としてCa2+応答測定を行い、CD22/72-/-マウスの表現型の検討についても複数の細胞表面分子についてその発現を検討するなど、より詳細な検討を予定している。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成26年度では、自己免疫疾患発症についての検討を含め、マウスを用いた実験や培養試薬を用いた実験を予定しており、研究費が必要なため次年度使用額が生じた。 平成26年度では、血中の自己抗体価測定、フローサイトメトリーを用いた細胞表面分子の発現、Ca2+応答測定などについて検討する予定である。これらの研究には各種の抗体やサイトカイン、培養試薬が必要であり、研究費は消耗品に使用する予定である。
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