2014 Fiscal Year Annual Research Report
生物学的意義の異なる複数バイオマーカーを組み合わせた認知症鑑別及び早期診断
Project/Area Number |
24591686
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
相馬 仁 札幌医科大学, 医療人育成センター, 教授 (70226702)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | バイオマーカー / 認知症 / アネキシンA5 / アルツハイマー病 / レビー小体型認知症 / 軽度認知障害 / 高齢者鬱 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、認知症の代表であるアルツハイマー病(AD)やレビー小体型認知症(DLB)の診断の上で補助的役割を客観的に担う血漿マーカーを検討した。ヒト血液検体を用いるため、札幌医科大学臨床研究審査委員会の審査を受け、承認を得た。血液検体は214名の認知症患者(AD150名、DLB50名、軽度認知障害(MCI)14名)、高齢者鬱患者(6名)そして387名の健常高齢者から得た。すでに我々が明らかにした候補マーカー(アネキシンA5)を我々が確立したELISAの系(スフィアライトアッセイ)で測定した結果、血漿中濃度はADで3.33±1.61 ng/ml、DLBで3.02±1.08 ng/mlで、健常高齢者の値(1.88±0.69 ng/ml)と比較して有意に上昇していた。ADとDLBは類似した症状を示すことや、同様の治療薬が使われることから両者の共通性が示されていることが、血漿マーカーアネキシンA5からも示唆される。アネキシンA5濃度は年齢と共に上昇することが健常高齢者において明らかになったが、AD/DLB患者と比較すると有意に低い値であった。更に、認知症のない鬱の高齢者において血漿アネキシンA5濃度は2.33±0.72 ng/mlで、健常高齢者と同程度であった。高齢者において鬱の症状が認知症で認められることも多く、診断を困難することが報告されている。血漿アネキシンA5濃度から両者を区別できる可能性を示している。一方、MCIはその診断後1年に10-15%が認知症に移行し、さらに年月を追うごとのこの割合は増大することが報告されている。今回、MCIと診断された14名の患者血漿のアネキシンA5濃度を測定した結果3.43±1.45 ng/mlで、健常高齢者と比較して有意に高いことが明らかになった。一度、MCIの診断を受けることで、対象者は認知症へと移行するかもしれないという精神的な苦痛を強いられることになるため、予後予測に有用な因子となる可能性がある。アネキシンA5は血漿バイオマーカーとして早期のAD/DLB診断に使える可能性がある。
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