2012 Fiscal Year Research-status Report
精神病症状を伴う気分障害の視床下部ー下垂体系脆弱性と前頭葉ネットワークの障害
Project/Area Number |
24591705
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
城山 隆 三重大学, 医学部附属病院, 講師 (00252354)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前田 正幸 三重大学, 医学部附属病院, 准教授 (70219278)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 拡散テンソル画像 / 双極性感情障害 / 非定型精神病 / 脳白質 / 前頭葉 / 辺縁系 / 視床下部 / 甲状腺 |
Research Abstract |
拡散テンソルデータの解析方法に関して、TBSS(Tract-Based Spatial Statistics )では標準化に伴う情報変容・喪失などの課題があり、本研究では被験者個々の脳における解析であるため感度の高いfiber tractographyや3D‐ROI法も併用する。今年度はDTI studio によるfiber tractographyを用いたFA (Fractional anisotropy),Trace, RD(radial diffusivity), AD(axial diffusivity) 値の測定信頼性について、健常者6名を対象に、帯状束、鉤状束、脳梁、脳弓、弓状束、下縦束、下前頭後頭束、内包前脚、前交連、上小脳脚、淡蒼球―視床線維について検討した。神経束の分枝の量や走行様式なども含めて被験者間の形態学的個体差が課題であり、「解剖学的知見に基づいて」解析対象領域を取捨選択する過程で評価バイアスが生じると思われ、とくに前部帯状束は脳回レベルで個体差が大きい部位であり、再現性の低さが目立った。One-ROI approach で神経束全体をreconstructionするのではなく、multiple-ROI によって解析対象領域を神経束の一部に限局し、解剖学的に厳密な定義をおこなうことが測定信頼性を高めると考え、前部帯状束では、背側・腹側・膝下領域に分けて解析することが機能的考察をおこなう上でも適切と考えられた。弓状束の直接路の存在は左右差や個体差があったが間接路の前部・後部は被験者間の差が比較的少なかった。他の神経束でも同様の解析方法を工夫したが、神経束の量や走行様式はTBSSでは得られない情報であり、その意義については今後も検討課題とする。淡蒼球―視床線維はreconstructionされる線維数が少ないため3D-ROI法も併用する方法を検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1. 被験者の登録に関して、患者群はDSM-IV-TRの診断基準を満たす、「重症の気分障害で精神病性の特徴を伴うもの」「軽症あるいは中等症の気分障害」と診断された患者群に該当する各診断カテゴリーで15例以上を目標としていたが、20例以上に目標症例数を上方修正した。現在のところ、状態の悪化や本人の登録拒否により登録に至っていないケースが多数あるが、とくに重症の気分障害で精神病性の特徴を伴うものに関して、登録のペースを上げる必要がある。健常な被験者は、患者群と年齢・性を一致させるために、さらに登録を増やす必要があるが、既登録者数は十分あり、ほぼ予定通りである。 2. TBSS ver1.2;Tract-Based Spatial Statistics( FSL 4.0 software Oxford Centre for Functional Magnetic Resonance Imaging of the Brain, University of Oxford, Oxford, England; http://www.fmrib.ox.ac.uk/fsl)に関しては方法の検討を重ねており、ほぼ予定通りである。 3. fiber tractographyに関してはDTIStudio, version3.03 (H. Jiang, S. Mori, Department of Radiology, Johns Hopkins University, Baltimore, Md)を用いた方法の検討を重ねており、ほぼ予定通りである。 4. 3D-ROI法に関してはROI editor ver 1.6 (Johns Hopkins University, Baltimore, Md)を用いて方法の検討を重ねており、ほぼ予定どおりである。
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Strategy for Future Research Activity |
1.被験者の登録:各診断カテゴリーで20例以上のサンプル数を確保するように目標症例数を上方修正したため、今年度中に目標登録数の達成につとめる。大学外の精神科病院や、クリニックにも対象となる患者の紹介を打診する。登録済み患者の臨床所見に関して、不足している情報を集めていく。 2. fiber tractography:H24年度の研究で確立した方法により、解析対象とする神経束を形態学的にいくつかの領域に分けてreconstructionして、FA ,Trace, RD, AD値を測定する。大脳基底核の入出力線維においては解像度の問題と、近傍の内包の交叉線維の存在が大きく影響しており、高い評価者間信頼性を得るためには、reconstructionのためのROI設定の精度のさらなる改善を要する。ROI-editorを用いたきめ細かいROI設定をDTIstudioに読み込んでfiber tractographyをおこなう方法も使用していく。 3. 3D-ROI法:とくに大脳基底核の微細構造の評価に関しては、上記のようにfiber tractographyの限界の可能性も考慮し、淡蒼球、被殻、尾状核などの構造がより明瞭に見えるT1画像をFA ,Trace, RD, ADそれぞれの画像にcoregistrationしたうえで、ROI editorを用いて3次元で解析対象となるROIを設定し、FA ,Trace, RD, AD値を測定する。 4.TBSS、fiber tractography、および3D-ROI法の方法上の長所短所を検証する目的で、比較的サンプル数の確保できている健常者群の拡散テンソルデータを年齢層によって2群に分けてそれぞれの方法を用いてFA ,Trace, RD, AD値を比較することでそれぞれの方法の課題を探り、健常群・患者群の2群で比較する際の参考とする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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