2013 Fiscal Year Research-status Report
精神病症状を伴う気分障害の視床下部ー下垂体系脆弱性と前頭葉ネットワークの障害
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24591705
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
城山 隆 三重大学, 医学部附属病院, 講師 (00252354)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前田 正幸 三重大学, 医学部附属病院, 准教授 (70219278)
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Keywords | 双極性障害 / 非定型精神病 / 精神病性うつ病 / 気分障害 / 脳白質 / 拡散テンソル画像 / 前頭葉 / 辺縁系 |
Research Abstract |
健常者においても加齢による脳白質変化の報告が集積されてきており、本研究デザインは精神病性の特徴を伴う重症の気分障害群、軽度または中等度気分障害群、および健常群の3群の脳白質の拡散パラメータ(FA, MD, RD, AD)に関する横断的比較であることから、加齢による変化が交互作用あるいは交絡因子として病的所見に偽陽性の効果をもたらす可能性があると考えた。双極性障害患者では年齢に比して脳白質高信号が多くみられる報告も集積されており、健常者の加齢変化の個人差との差異も課題であることから、加齢の影響を少なくするために、本研究の被験者の年齢層は患者群・健常群ともになるべく50代までになるように考えている。本年度は対照群の主体となる40代50代の健常群32例の脳白質に関して、加齢による変化を解析した。その結果、加齢に脆弱な脳白質神経束と頑健な神経束の差があり、従来の報告との一致も矛盾もみられた(投稿準備中)。その過程で一般線形モデルによるTract-Based Spatial Statistics(TBSS)およびTBSSを用いた白質skeletonにおけるMNI152atlasに基づくROI法による拡散パラメータの評価方法を比較した。それらの方法間で所見の矛盾のある領域に関して被験者のnative spaceにおいてDTIstudioを用いたFibertractographyを行い、3つの異なる方法で白質神経束の拡散パラメータを評価することで、より頑健なデータが得られると考えた。その方法が適切であることを、国内の代表的な神経画像研究者が開催する「包括脳チュートリアル」に参加して確認できた。健常群の解析を行うことで発達・加齢に伴う脳白質変化という視点と研究の方法論を獲得し、気分障害における脳白質の病的変化について発達・加齢の要因に関する考察が深まった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
重症の気分障害で精神病性の特徴を伴う病像を呈する入院・外来患者は、60代後半から70代の患者も多く、これらの患者を被験者に含めればサンプル数は増える。しかし対象となる被験者は加齢の影響を除くために当初から65歳以上の被験者を除く研究デザインとしており、健常者でも60代以降は白質高信号所見の増加に加えて脳白質神経束微細構造の変化もみられることから、できれば3つの被験者グループすべてで40代50代の被験者を中心としたい。精神病性の特徴を伴う重症気分障害群で40代50代の被験者がもう少し必要である。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度では、3つの被験者グループの被験者数を集積し、一般線形モデル(GLM)を用いた解析方法に関して検討して、本年度の研究実績に記した方法論を適用する。 可能であればSPMを用いた脳白質・灰白質体積の解析も行う予定である。 精神病性の特徴を伴う重症気分障害群で40代50代の被験者が集まらない場合には、それぞれのグループで60代の被験者も含めることにして、3グループにおける加齢変化のslopeを比較するということも検討する。
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