2013 Fiscal Year Research-status Report
心筋血流予備能を用いた拡張障害心不全患者における包括的リスク評価
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24591742
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
納谷 昌直 北海道大学, 大学病院, 助教 (20455637)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩野 弘幸 北海道大学, 大学病院, その他 (50622354)
絹川 真太郎 北海道大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (60399871)
真鍋 徳子 北海道大学, 大学病院, 講師 (70463742)
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Keywords | 循環器 |
Research Abstract |
2013年度は冠動脈疾患疑い患者における心筋血流予備能による虚血診断能の検討を行った。 研究背景として、心筋血流予備能は血流制限のある冠動脈狭窄に加えて微小血管機能を反映する。心筋血流予備能の冠動脈疾患に対する診断能は軽度と思われるが心臓MRIでの検討は知られていない。そこで、心臓MRIで測定した心筋血流予備能の冠動脈狭窄および虚血患者の診断能について検討を行った。 方法:2009年12月から2014年2月まで心臓MRIと侵襲的冠動脈造影を施行した連続67例の冠動脈疾患疑い患者と20例の健常人を登録した。3テスラMRIと造影剤を使用して負荷時とATP安静時の血流イメージをダイナミック撮影した。時間造影剤濃度曲線から1-コンパートメントモデルにて心筋血流量を算出した。心筋血流予備能は負荷時の心筋血流量を安静時の血流量で割って算出した。 結果: 56例(64%)の被験者が冠動脈造影にて70%以上の狭窄病変を有していた。その内、MRI心筋血流イメージにてstress score 4以上(17セグメント、5ポイント)の虚血を認めた患者は40例おり、有意な冠動脈疾患ありと判定した。これらの患者では心筋血流予備能が有意に低下していた(2.8 [IQR 1.9 - 3.9] vs. 3.3 [IQR 2.7 - 4.5], P = 0.02)。また、心筋血流予備能は冠危険因子とも軽度の関連が認められた(R2 = 0.12, P = 0.02)。ROC解析にて、心筋血流予備能 <2.56は冠動脈疾患患者をAUC 0.65 (P = 0.02、感度0.83、特異度0.48)と軽度検出した。 結論: MRI負荷検査による虚血および心筋血流予備能は軽度相互作用するため、有意冠動脈疾患を検出する際に感度はよいが、特異度は低値であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
対象となる左室収縮能が保たれている心不全患者患者が大学病院では減少しており、登録が当初の計画より少ない。そこで過去に負荷心臓MRIを施行した冠動脈疾患疑い患者についての検証を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
心不全患者を引き続き登録していく予定である。一方で、2013年度に検証した冠動脈疾患患者を対象とした後向き試験のデータを用いて、心筋血流予備能の心リスク評価有用性について、さらに以下の検討を行う。 1)最初に、今回の研究計画にて開発した心臓MRIでの冠血流予備能測定プログラムを改良し、心臓全体の冠血流予備能に加えて冠動脈領域毎および心内膜側の局所心筋血流予備能の測定のためのプログラムを開発する。 2)このプラグラムを用いて、2009年12月から2014年2月までに当院で冠動脈疾患の疑いで心臓MRI施行した患者(67例前後)および健常人約20例を対象に局所心筋血流予備能を測定する。 3)心筋虚血は心外膜側よりも心内膜側で著明であることから、心内膜側心筋血流予備能は冠動脈診断能を向上させると考えられ、ROC解析にて評価する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
患者登録のための医療コーディネータを雇わなかったため、必要とする費用が少なかった。 購入予定のELISAキットの購入が遅れているため。 2心臓MRIによる定量的心筋血流予備能測定等のプログラムを改良するため実験補助員(プログラマー)を2人ほど採用する予定であり、その人件費とする予定である。 また、国際学会および国内の学会にて情報収集あるいは結果発表のための旅費とする予定である。 検査時に保存した採血の解析に要する費用とする予定である。
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