2013 Fiscal Year Research-status Report
3テスラMRIを用いた心筋血流定量および梗塞病変の定量検出
Project/Area Number |
24591743
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
加藤 千恵次 北海道大学, 保健科学研究院, 教授 (10292012)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉永 恵一郎 北海道大学, 医学(系)研究科(研究院), 特任教授 (30435961)
真鍋 治 北海道大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (40443957)
真鍋 徳子 北海道大学, 大学病院, 講師 (70463742)
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Keywords | MRI / 心筋血流定量 / コンパートメントモデル解析 / PET |
Research Abstract |
【背景 ・目的】近年、MR perfusionから心筋血流量(MBF)を定量する試みが多く報告されている。我々は酸素15標識水PETから得られたMBFとMR perfusion のみから得られる指標である速度定数K1の補正式をRenkin-Croneの式を用いて算出し、MR perfusion のみからMBFを算出する方法を開発した。そこで、これまでの方法を応用し血流予備能(CFR)の算出及び局所病変への応用を試みた。 【方法】対象は正常男性10例(28.3±9.0 歳)、冠動脈疾患患者10例(60.1±16.3 歳)。患者群には心臓カテーテル検査を実施し、狭窄の有無、狭窄度を評価した。使用機器は、Philips Achieva 3.0T、MR perfusionは安静時及びATP負荷時の検査を行った。負荷時と安静時のMBFの比を求めることによりCFRの算出を行った。CFRは心筋全体、左前下行枝(LAD)、左回旋枝(LCX)、右冠動脈(RCA)に関してそれぞれ算出を行った。 【結果】患者群の心筋全体のCFRは正常男性群と比較し有意に低下していた。(2.02±0.54 vs 2.75±0.63, p=0.007)。90%以上の狭窄が見られた領域と見られなかった領域で比較を行うとLAD、LCX、RCAすべてにおいて有意な低下を認めた(LAD:2.63±0.42 vs 1.99±0.42, p=0.042、LCX: 2.57±0.59 vs 1.93±0.38, p=0.042、RCA: 2.46±0.58 vs 1.93±0.50, p=0.047)。 【結論】今回の研究では、MR perfusionを用いて血流予備能の局所解析を試みた。患者群との検討の結果、今回の方法の妥当性を確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度の研究では、健常例データに冠動脈疾患患者10例を加えたデータにて、3.0T MRI による心臓MR perfusionを用いて心筋血流の定量値を算出した。虚血心筋領域の血流を、シングルコンパートメントモデルの解析から得られる速度定数K1を用いて算出を試みた。心筋血流量を算出するために、核医学検査における心筋血流の定量化が確立されている酸素15標識水PETによる解析値及びRenkin-Croneの式を利用した補正式を算出することにより実際の定量値を得るという工夫を行った。この補正を行うことにより従来法では過小評価していた高血流領域の心筋血流量を求めることができるため正確に血流予備能の算出が可能となった。また、この方法にて局所領域の解析を行ったことも新しい試みであると考えられる。ここまでの成果を論文(Journal of MRI : Quantification of Myocardial Blood Flow with Dynamic Perfusion 3.0 Tesla MRI: Validation with 15O-water PET.)に投稿した。査読審査後の再提出を行った段階である。
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Strategy for Future Research Activity |
冠動脈疾患患者の3.0T MRI 心臓MR perfusionデータを50例程度収集する予定である。これらに対して、25年度の研究で確立した虚血心筋領域のダイナミックデータ解析プログラムを使用して、3コンパートメントモデル解析および、その他の動態解析方法にて、虚血病変に特徴的な造影剤の排泄遅延を定量評価可能なパラメータの算出方法の開発を試みる。
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