2013 Fiscal Year Research-status Report
多様化する血管内治療デバイスに対応した磁気共鳴画像による塞栓脳動脈瘤破裂徴候検出
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24591750
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
植田 文明 金沢大学, 大学病院, 講師 (80293356)
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Keywords | 脳動脈瘤 / 磁気共鳴画像 / 塞栓術 |
Research Abstract |
塞栓脳動脈瘤に12ヶ月以上の期間にわたる造影剤投与前後のMRAでの経過観察例の検討を行った。動脈瘤の内腔にコイルが充填された状態の増強効果履歴をプラス、マイナスで分類し、時間的推移をマイナス-マイナス、プラス-マイナス、プラス-プラス(減弱傾向)、プラス-プラス(不変)、マイナス-プラス、プラス-プラス(増悪傾向)と6カテゴリーに細分化した。動脈瘤の臨床的帰結も完全塞栓例、残存頸部もしくは残存瘤だが不変例、残存頸部拡大例、残存瘤拡大例、残存瘤拡大再破裂の5グレードに分類し、不変までを予後良好、それ以降を予後不良と分類した。年齢、性別、動脈瘤の存在部位、多発性、発症がくも膜下出血かどうか、動脈瘤の最大径、動脈瘤の頸部のサイズ、塞栓術の完璧性などを検討した。動脈瘤内に装填されたプラチナコイル塊はMRI信号上、低信号に描出される。この低信号の周囲に造影剤にて増強効果を示しリム状に描出されることがあるが、この増強効果を様々な因子ごとに統計学的検討をした。リム状の増強効果は年齢、性別、存在部位、動脈瘤の多発性、発症がくも膜下出血かにおいては差異を認めなかった(p>0.05)。動脈瘤の最大径のみが多変量解析上、壁増強群への有意に関与し、オッズ比(OR)は1mmあたり1.33であった(p<0.05)。帰結には動脈瘤の最大径(OR=1.25/1mmあたり)と瘤壁の増強効果(OR=6.10)の2つの因子が有意に関与していた(p<0.05)。瘤壁増強のカテゴリーと帰結のグレードのSpearmanの相関係数は0.53(p<0.05)であった。動脈瘤拡大傾向を示すにもかかわらずリム状のコイル周囲の増強効果を示さない例は動脈瘤の頸部増大例であった。リム状のコイル周囲の増強効果の増悪は塞栓脳動脈瘤の破裂徴候と考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
エンタープライズステントアシスト下の脳動脈瘤塞栓術症例は4例の追加が得られた。ニューロフォームのMRI臨床試用は経験的に慣れているエンタープライズステントを血管内手術時に採用することが外科的見地から選択されているため、本施設ではまだ行われていないが平成26年度には開始できる見込みである。またパイプラインステントは我が国への臨床使用が未だ開始できていない状況であり、脳動脈瘤のステントをパイプラインステントとプラチナコイルとの併用下による治療後のMRA画像評価に関しては多種類のデバイスによる比較検討には至っていない。ただし、こちらも平成26年度中には開始できると思われる。したがって、これらのデバイスを併用したプラチナコイル使用下の脳動脈瘤の破裂徴候検出に関しては当初の予定よりは若干遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
ハイドロコイルの使用例の検討を行い、プラチナコイルにも金属組成の違いがあることを考慮してコイルデバイスの違いによるリム状のコイル周囲の増強効果の推移の検討を充実させる。平成25年度に本邦への臨床導入が遅れており、平成26年度に導入が延期になっているパイプラインステント併用の塞栓術後のMRAによる本研究は本邦への導入後直ちに我々の施設でも臨床応用を行うことで可能と判断している。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度に予定していたパイプラインステントによる臨床研究が、パイプラインステントの本邦への導入が遅れているため若干延期することとなった。ただし平成26年度には我が国への臨床適用が開始される予定であることから、我々の施設でも本研究は進行すると考えられる。 未使用経費は繰り越しとし、ニューロフォームによる臨床検討とともに次年度に行うこととした。
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Research Products
(2 results)