2012 Fiscal Year Research-status Report
多系統萎縮症の早期診断を目指した基礎的および臨床的研究
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24591763
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
小川 敏英 鳥取大学, 医学部, 教授 (00125709)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤井 進也 鳥取大学, 医学部附属病院, 講師 (10379638)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 多系統萎縮症 / MRI / 脳血流SPECT |
Research Abstract |
平成24年度には、多系統萎縮症のMRIおよび脳血流SPECT所見における、小脳、中小脳脚、橋の左右差の頻度およびその意義についての検討を行った。研究期間中に当院でMRIおよび脳血流SPECTが施行され、臨床的に小脳失調が前景にある多系統萎縮症(MSA-C)と診断された25例(男性13人、女性12人、平均63歳)を対象とした。検討方法は、放射線科専門医が、小脳、中小脳脚、橋の萎縮、T2強調像あるいはFLAIR像での異常信号および左右差の有無を評価し、脳血流SPECT所見と対比した。 小脳の萎縮は全例(25例)で認められ、信号変化は18例、左右差は7例で認めた。中小脳脚の萎縮は23例で、いずれも信号変化を伴い、左右差は9例で認めた。橋の萎縮は24例で、十字状の高信号を23例で、左右差は5例で認めた。脳血流SPECTでは、小脳半球の血流低下を21例で、左右差を11例で認めた。経過観察で1例は萎縮の進行とともに小脳半球の左右差が不明瞭化した。 小脳、中小脳脚、橋の変化は両側性であるが、左右差がそれぞれ28%、39%、20%で認められた。他の変性疾患でも左右差が生じることはよく知られているが、多系統萎縮症でも稀ならず左右差が認められた。経過観察で非対称のまま推移する症例や左右差が不明瞭となる症例もあり、多系統萎縮症の病期進行の多様性を示す所見と考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
多系統萎縮症患者に対する3.0 tesla MRIおよび脳血流SPECTを用いた検討では、予定していた症例数以上に検査を実施する事ができ、定性的評価であっても小脳、中小脳脚および橋に少なからず左右差が認められることが明瞭になった。しかしながら、剖検例を用いた検討に関しては、適切な症例の剖検を得る事ができず、計画した研究を実施する事ができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
多系統萎縮症患者に対する3.0 tesla MRIおよび脳血流SPECTを用いた検討に関しては、症例数の蓄積を図ると共に、みかけの拡散係数による定量的解析を追加する予定である。 一方、剖検例に関する検討では、剖検例の減少により適切な症例を得る事が困難なことも十分予想される事から、これまでの剖検例のうち適切な症例を見つけ、病理学的検討については実施することも検討する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
これまでに得られた研究実績に関して、国内ならびに国際学会にて初期の成果を発表する(550,000円を予定)。また、多系統萎縮症を対象に画像診断および病理学的検討を実施している他施設に赴き、これまでの成果について議論を行う(200,000円を予定)。これらを通して、今後の研究の方向性を確認し、研究の遂行に必要な物品等の購入を行う(350,000円を予定)。
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Research Products
(6 results)