2013 Fiscal Year Research-status Report
多系統萎縮症の早期診断を目指した基礎的および臨床的研究
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24591763
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
小川 敏英 鳥取大学, 医学部, 教授 (00125709)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤井 進也 鳥取大学, 医学部附属病院, 講師 (10379638)
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Keywords | 多系統萎縮症 / MRI / 脳血流SPECT |
Research Abstract |
平成25年度には、多系統萎縮症(multiple system atrophy: MSA)のうち小脳症状が前景にあるMSA-Cを対象に、3.0T MRIによる所見と99mTc- technetium-99m ethylcysteinate dimer(99mTc-ECD)を用いた脳血流SPECT所見における、小脳半球、中小脳脚、橋の左右差について検討した。今回の検討では、MRIに関しては萎縮の有無、T2強調像での信号変化、脳血流SPECTに関しては小脳半球の血流分布について検討した。 その結果、MR所見に関しては、小脳で64%、中小脳脚で61%、橋で21%に左右差を認め、脳血流SPECTでは71%に左右差を認めた。MR所見と脳血流SPECTの比較では、57%においてMRIでの小脳および中小脳脚の萎縮と同部の脳血流低下が一致していたのに対して、11%では一致していなかった。 以上より、MSA-CではMRIおよび脳血流SPECTでの小脳ならびに中小脳脚の左右差は60%以上に観察され、両者の所見が一致しない症例も稀ならず認められることが確認された。Parkinson病などの変性疾患では、臨床症状並びに画像所見において左右差が認められる症例をしばしば経験するが、MSA-Cにおいても同様であることから、経時的な変化を含めた検討が必要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
多系統萎縮症のうちMSA-Cについては予定症例のMRIおよび脳血流SPECTのデータ収集が順調に進んでおり、当初予想した以上の症例でMRIおよび脳血流SPECT所見が観察されることが明瞭になった。ただ一方では、剖検脳に関しては適した症例ので病理所見を得る事ができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
今回の検討から、MRI並びに脳血流SPECT所見の経時的な変化の検討の必要性並びに臨床症状と画像所見との対比が重要である事が確認できた。したがって、今後は追跡検査での画像所見の変化と臨床所見の対比に重点をおいた検討を実施する予定である。 一方、剖検例に関する検討に関しては、剖検例が全体に著しく減少しており、今回の検討に適する症例が得られないことが十分予想される。これまでの剖検例の中から適切な症例を見つける努力を引き続き行う予定である。 次年度に実施する予定の追跡検査と臨床所見との対比を含めて、国内ならびに国際学会(第20回Symposium Neuroradiologicum)に総括的な成果を報告する(600,000円を予定)。また、成果を纏めるに当たって、同領域を専門とする神経内科医並びに神経病理医との議論が必要である。他施設に赴き(300,000円を予定)議論をすると共に、その中で更なる検討のために必要な物品があれば購入を予定している(500,000円)。尚、成果は欧文雑誌に投稿予定であり、英文校正費用(100,000円)を要する。
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Research Products
(9 results)