2013 Fiscal Year Research-status Report
ナノキャリア「ラクトソーム」を利用した放射性分子イメージングプローブの開発
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24591821
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Research Institution | Tohoku Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
山本 文彦 東北薬科大学, 薬学部, 准教授 (40253471)
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Keywords | 分子イメージング / ラクトソーム / 放射性標識合成 / 腫瘍 / PET / SPECT / マウス / インビボ |
Research Abstract |
引きつづきナノキャリア「ラクトソーム」の新たなドラッグデザイン改良とその効率的合成法の開発を目指した。 京都大学薬学研究科佐治研究室の協力により行った腫瘍モデルマウスにおけるラクトソームのSPECT画像を解析した結果、投与後6時間で腫瘍が描画され24時間で鮮明な腫瘍画像を得られた。ラクトソームは腫瘍SPECTイメージング剤としての可能性があることが示唆された。用いたI-123標識ラクトソームは、これまで報告者が確立したI-131標識ラクトソーム合成法に準じ、トリブチルスズ前駆体から用時合成したI-123標識SIBと末端アミノ基を有するポリ乳酸を反応させて得たI-123標識BzPLLAを両親媒性ポリマーと自己集合化させ調製することが可能であった。 24年度において従来の標識分子内包型ラクトソームではラクトソームの体内動態を正確に反映していないことが懸念されたため、ラクトソーム構成ポリマーに直接的に放射性ヨウ素を導入した後に粒子化する新しい「本体標識型ラクトソーム」の合成を開始した。予備検討では両親媒性ポリマーの末端NH基へのiodobenzoyl基の導入は可能であったが、ラクトソームとして必要な重合数を有するPLLA30-PSar75-NHの効率的合成の確立に手間どった。最終的に、ポリ乳酸合成時の加熱法ならびに導入するNCA-Sarの精製法を工夫することにより最適合成条件を見出した。本体標識型ラクトソームの合成は検討中である。 ラクトソームを複数回投与すると、血中から速やかに肝臓に移行し腫瘍集積しなくなるaccelerated blood clearance(ABC)現象が生じる問題点があることが明らかとり、その回避法を探る評価系として、ラクトソーム前投与ABC発現モデルマウスを検討した。少量の放射性ラクトソームでABC現象を定量的にインビボ評価が可能な投与条件を見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
25年度中に本体標識型I-125標識ラクトソームの合成を達成する予定であったが、両親媒性ポリマーの最適合成条件を見出すのに時間を要したため達成できていない。基本的な障害は解決できたので、26年度には達成可能と考えている。 一方で、新たな知見としてラクトソームに発現するABC現象の存在が明らかとなり、治療効果やイメージング最適条件等を探るためには、まずはその回避法を見出すための新たな定量的評価系を構築する必要性が生じた。
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Strategy for Future Research Activity |
本体標識型ラクトソームの合成検討とその放射性ヨウ素標識ラクトソームの動物生体内分布評価を推進する。また、25年度に確立した定量評価系モデルを用いて、ABC現象を回避する新たなラクトソームドラッグデザインの定量的評価や、良好な腫瘍イメージや炎症病変イメージが得られるような投与条件の検討を行う。ミクロオートグラフ法による腫瘍、肝臓、脾臓組織内放射能分布の評価も試みる。腫瘍集積性と炎症病変集積性の違いについても観察し、ラクトソーム分布による両者の識別の可能性も検討していく。 さらにそれら新型ヨウ素標識ラクトソームのSPECT評価等につなげていく計画である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
25年度および26年度に成果発表のための旅費をそれぞれ計上していたが、26年度に発表予定の米国核医学会への旅費+参加費が当初の予算額を上回る見込みとなったため、25年度は出張旅費の支出を抑制して、その差額を26年度の成果発表旅費にまわすことにしたため。 すでに26年度の外国における成果発表は確定しているため(米国核医学会年会6月、旅費+参加費の見込み計32万円)、生じた次年度使用額を加えて外国旅費に使用する計画である。
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