2013 Fiscal Year Research-status Report
根治的放射線治療後再発食道癌に対する高精度放射線治療技術を用いた臨床試験
Project/Area Number |
24591842
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
佐々木 智成 九州大学, 大学病院, 講師 (10380437)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
塩山 善之 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 共同研究員 (10323304)
中村 和正 九州大学, 大学病院, 准教授 (20284507)
吉武 忠正 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (40452750)
本田 浩 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (90145433)
大賀 才路 九州大学, 大学病院, 助教 (90380427)
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Keywords | 強度変調放射線治療 / 再発食道癌 / 組織耐容線量 / 臨床試験 |
Research Abstract |
本研究では当初の予定では初年度にプロトコルを作成し、安全と考えられる30Gy程度からの線量増加試験として食道癌の根治療法再発後の放射線治療についての研究・開発を行う予定であった。 平成24年度~25年度にかけて九州大学病院および九州がんセンターでの再発症例の調査を行った。過去7年で19例の症例に根治照射後の再照射が行われていた。解析の結果30Gy-40Gy程度の照射をおこなった症例では全例死亡しており、60Gyが照射された2例のみが生存していた。平成25年度にはプロトコルを倫理委員会に提出し試験を開始する予定だったが、上記結果から当初の線量増加試験では有効性が低いと判断したため、プロトコルを変更し50Gyを照射する第1/2相試験に変更する方針とした。また、プロトコル作成の段階で年間の登録数が従来考えていたよりも少ない可能性が指摘された。すなわち、近年では食道癌再発例に対する救済手術は増加傾向で有り、逆に放射線科に対する再照射の依頼がきわめて少なくなっている。九州大学の場合H25年度では1例のみで有り、九州がんセンターも同様であった。しかしながら、臨床試験としては有用と考えられるため、計画を今後継続するために新たなプロトコルを作成し、平成26年度中に倫理委員会に提出し、試験を開始する予定である。また、今回の解析で得られた結果は今年度の日本放射線腫瘍学会で報告を予定している。さらに、平成25年度は擬似的に食道癌初発例を再発症例として治療計画を3例(頸部、胸部上部、胸部中部再発)に対しておこなった。IMRTの採用により脊髄線量は比較的低減が容易であったが、肺に対する線量制約によっては気管や大動脈に対しては腫瘍線量と同程度の線量が照射されてしまうことが判明した。これらの研究結果はさらに症例を増やして次年度の日本医学放射線学会総会にて公表する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
当初予定していたプロトコルでは30Gyからの線量増加を予定していたが、強度変調放射線治療を用いずとも、30Gy程度であれば、これまでも脊髄を外した状態で行われており、ほとんどの症例が死亡していることから、安全とはいえ効果は十分とは言えないと考えられた。根治線量である50Gy程度の照射を検討すべきとグループ内での議論があり、プロトコルを変更してこれを再度倫理委員会に提出すべく議論を重ねている。なお、症例集積についても当初予定してよりも対象症例が少ないことが判明している。これは外科による救済手術が以前よりも増加していることによると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方法としては線量を50Gyとした第1/2相試験として行う。症例集積については線量増加試験にくらべると集積しやすいと考えられる。また、これにより周囲危険臓器の線量制限の見直しも必要となり、疑似症例の計画を元に再検討の上、早急にプロトコルを作成し倫理委員会に提出する。これまでに判明した疑似症例の計画の結果は今年度学会発表、論文作成を予定している。なお、九州大学病院および九州がんセンターでは今年度からVarian社製の最新機種が導入され、これまでの5mm厚のマルチリーフコリメータ(MLC)が2.5mm厚になるため、従来よりも線量分布が改善する可能性が高い。これについてはファントムを用いた疑似治療計画を予定しており、また疑似症例による治療計画などと比較して有効性を検証する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初プロトコルを提出し試験を開始する予定であったが過去症例の解析の結果、大幅のプロトコルの見直しが必要と判断された。当初の予定では症例集積のための他施設との連携に必要な旅費および試験内容の学会発表などの機会を逸したことや、予定していたパソコンの購入を見送ったため次年度使用額が生じた。 プロトコルの再提出を行い、あらたに第1/2相試験として研究を継続する。九州がんセンター以外の関連施設については試験の内容などを説明し、九州大学病院へ症例を紹介を依頼する。また疑似症例の治療計画から得られた知見を学会発表、論文作成などに使用する。
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