2014 Fiscal Year Annual Research Report
FGF12の放射線防護効果に対する新規作用機序に関する研究
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24591856
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Research Institution | National Institute of Radiological Sciences |
Principal Investigator |
中山 文明 独立行政法人放射線医学総合研究所, 重粒子医科学センター, チームリーダー (50277323)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 再生医療 / 蛋白質 / 放射線 / 増殖因子 / 防護剤 / 細胞内移行 |
Outline of Annual Research Achievements |
Fibroblast Growth Factor (FGF)は、放射線障害の予防・治療に有効であると考えられている。FGF12も放射線誘導性アポトーシスを抑制できることを培養細胞とマウスを用いて示してきた。一方、FGF12が他のFGFよりも効率よく細胞内移行できることを見出し、それに関わる細胞通過ドメインを同定した。前年度までに、このFGF12がマウス小腸に対して放射線防護効果を有することを明らかにし、その役割を担うFGF12上のドメインが、細胞内移行ドメイン(CPP-C及びCPP-M)と同一であることを同定した。そして、FGF12は細胞内移行することにより、小腸における放射線防護効果を発揮することを明らかにした。当該年度は、細胞内移行したFGF12の細胞内シグナリングを探索した。方法として、ヒト肥満細胞腫細胞株HMC-1を用いて、FGF12を細胞内移行させた後、X線照射し、抗体アレイを使ってHMC-1細胞内のシグナル活性化を解析した。その結果、p38β, p38γ, p38δのリン酸化が増加したのに対してp38αのリン酸化が減少した。そこで、HMC-1細胞内にFGF12を強制発現させてからX線照射したところ、同様にp38αのリン酸化が減少した。さらに、ラット小腸細胞株IECにおいてp38阻害剤(SB20358)にてp38αとp38βを抑制したところで、放射線誘導性アポトーシスは減少した。以上、FGF12は、その細胞内シグナリングがp38 MAPKの抑制に関与することで、放射線防護効果を発揮していることが示された。これらの所見は、細胞内移行したFGF12が、細胞内シグナル分子として機能して、細胞における放射線防護効果を発揮していることを示唆した。
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