2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24591873
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
杉本 昌之 名古屋大学, 医学部附属病院, 病院助教 (00447814)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古森 公浩 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (40225587)
柴田 玲 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 特任講師 (70343689)
児玉 章朗 名古屋大学, 医学部附属病院, 病院助教 (10528748)
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Keywords | PPAR / 内膜肥厚 / 静脈グラフト |
Research Abstract |
閉塞性動脈硬化症 (ASO) 症例は、高齢化や食生活の欧米化により、増加の一途をたどっている。手術手技、治療用カテーテル、人工 血管材質そして薬剤の進歩により、血管内治療(経皮的血管形成・ステント留置術)や外科的バイパス手術の早期治療成績は、著しく 向上しているものの、血管壁内膜肥厚に起因する術後の再狭窄は、遠隔成績向上の障害となっている。本研究は、血行再建術後に生じ る血管内膜肥厚に対する有効な制御手法を開発することであり、長期的には臨床的に問題となる静脈グラフト晩期閉塞、血管内治療( 経皮的血管形成・ステント留置術)後の再狭窄の予防・長期開存成績の向上へと寄与することを最終目標として設定している。我々は先に核内レセプターであるperoxisome-proliferator-activated receptor (PPAR)のうちPPARγ agonistのpioglitazoneが、ウサギ静 脈グラフトモデルにおいて内膜肥厚を有意に抑制することを示した。本研究ではPPARsの中でも血管壁に強く発現するPPARαのagonistであるfibrateに着目し、これを経口投与することによる内膜肥厚抑制効果を動物モデルで比較する。同時に分子生物学的手法を用いて、内膜肥厚に関連する各種分子( IL-6, TNFα,NF-kβ,VCAM-1, COX2, eNOSなど)の血管壁での経時的活性・発現レベルへの効果の検証を行うことを目指して研究を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昨年度は実験系の確立に時間を要したが、ウサギモデル作成に要する手術を含めた実験手技にも全般的に慣熟が進み、この点については概ね順調である。また、PPAR-α agonistの経口投与がウサギ個体に及ぼす全身的影響(脂質プロファイルなど)の評価を昨年度から引き続き行うことで,至適投与量・投与法の検討を進めた。ウサギモデル作成の成績が安定したことにより異常血流静脈グラフト標本の作製も進んでおり、これにより血管内膜肥厚抑制効果に関する分子生物学的手法を用いた検討(免疫染色など)に着手、分析を進行・継続している。培養細胞を用いたin vitroでのPPAR-α agonistの作用検証を目的とした実験系の立ち上げも検討課題ではあるが、これに関しては現時点では進捗が見られていない。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度はウサギモデルの作成、薬剤投与といった実験系の確立を概ね達成することができた。これを受けて、今後は引き続き異常血流静脈グラフト標本の作成を続行するとともに、既に作成した標本に関して静脈グラフト内の内膜肥厚抑制効果を分子生物学的手法を用いて評価・検討を進める。作用機序の検討・解明に関しては培養細胞を用いたin vitroでのPPAR-α agonistの作用検証も必要と考えられ、これを目的とした実験系の立ち上げも検討する。培養細胞系としてはTHP-1( 単球細胞)、HUVEC(血管内皮細胞)、HASMC(大動脈平滑筋細胞)を念頭に置いている。 (次年度の研究費の使用計画) 引き続き、実験のための動物(日本白色種ウサギ)の購入、実験・動物手術に必要な試薬・薬剤の購入・施設使用料、免疫組織染色に必要な抗体・試薬の購入、さらに研究結果を学会発表するための旅費、最終的には論文として発表するための経費(英文校正費など含む)が必要である。
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