2014 Fiscal Year Annual Research Report
HLA-Fによる免疫抑制法―制御性T細胞を100%残すアロ反応性細胞除去法の開発
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24591886
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
王寺 典子(下嶋典子) 奈良県立医科大学, 医学部, 助教 (30398432)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石谷 昭子 奈良県立医科大学, 医学部, その他 (40112544)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | HLA-F / 移植 |
Outline of Annual Research Achievements |
HLA-Fは非古典的HLAクラスI遺伝子の一つであり、研究協力者のGeraghtyらが発見した遺伝子である。HLA-Fはこれまでの解析で、定常状態の免疫担当細胞表面には発現していないが、活性化免疫担当細胞表面には発現し、CD25+CD4+制御性T細胞表面には、定常・活性化のいずれの状態においても発現しないことが、Geraghtyらにより明らかになっている。さらに、多様な発現様式をもち、クロスプレゼンテーションと関与することがGeraghtyらから報告されている。そこで我々は、HLA-Fが拒絶反応時に制御性T細胞以外の細胞を活性化し、拒絶反応の増悪に関与しているのではないかと考えた。そして、HLA-F陽性細胞除去による免疫抑制法の開発を目指し、腎臓・肝臓・造血幹細胞移植前後における患者末梢血リンパ球におけるHLA-Fの発現を解析してきた。 本年度、新たに肝移植22例、腎移植22例、造血幹細胞移植8例の試料を採取し、これまで採取した検体数は肝移植99例、腎移植114例、造血幹細胞移植52例となった。 しかし、各臨床データとHLA-Fの発現有無について明確な相関は得られず、さらに詳細な解析を進めるため、6種の抗HLA-F抗体を使用して解析を進めたところ、そのうちの1種の抗体が、定常状態のB細胞上に発現するHLA-Fを検出した。このB細胞上のHLA-Fは他の5種の抗体では検出することができなかった。活性化免疫担当細胞に対する反応性は6種の抗体で同じであった。 このような反応性の違い、すなわち、定常状態のB細胞上のHLA-Fと活性化免疫担当細胞(B細胞を含む)に発現するHLA-Fの構造の違い、発現洋式の違い、さらには、機能の違いについて現在解析中であるが、HLA-F陽性細胞を除去することによる免疫抑制法の開発という点においては、これらの点が明らかに示せない限り、正常B細胞も合わせて除去してしまう危険性があるため、難しいと考える。今後はこれらの点について検証していきたいと考えている。
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